tend Editorial Team

2026.09.28(Mon)

「これ、どうぞ」コンビニで困っていた若い店員を助けられなかった私。だが、会計時にした小さな行動とは

「これ、どうぞ」コンビニで困っていた若い店員を助けられなかった私。だが、会計時にした小さな行動とは

レジで繰り返された「番号でお願いします」

昼どきのコンビニは混んでいました。開いているレジは一つだけで、私の後ろにも何人か並んでいます。

私は列の二番目にいました。レジ横には小さなお菓子が並んでいて、待っているあいだ、なんとなくその棚を眺めていました。

先に会計をしていた方が、たばこの銘柄を伝えました。応対していたのは若い店員さんです。店員さんは棚を見ましたが、どの商品なのか分からないようでした。

「すみません、番号でお願いできますか」

しかし、うまく伝わらなかったのか、やり取りは続きます。

「番号でお願いできますか」

店員さんは三度ほど同じお願いを繰り返していました。最初よりも声が小さくなっていくのが、後ろにいた私にも分かりました。

何か言ったほうがいいのだろうかと思いました。でも、私には相手がどのたばこを求めているのかまでは分かりません。

口を挟んでも余計にややこしくなる気がして、動けずにいました。

そのうち奥から別の店員さんが出てきて、商品を棚から取り、会計は終わりました。先ほどの方は文句を言いながら店を出ていきました。

結局、私は何もできませんでした。

自分の番になったとき、レジ横にあった小さなお菓子を一つ、かごに足しました。

会計を済ませても袋には入れてもらわず、そのままカウンターに置きました。

「これ、どうぞ」

店員さんは驚いた顔で私を見ました。

「え…?」

「いや、たいしたものじゃないですけど」

それだけ言って、私はレシートをポケットに入れ、店を出ました。

あの店員さんのためだけではなかった

外に出ると、一緒に店へ来ていた人から聞かれました。

「何か買ってた?」

「うん、ちょっとね」

それ以上は説明しませんでした。

店員さんを助けた、などと言えるようなことではありません。

むしろ、困っているのを見ながら何もできなかった自分が、そのまま店を出るのが嫌だったのだと思います。

あのお菓子一つで何かが変わったとは思いません。それでも、何もできなかったあとに、自分なりにできることを一つ探した。それでよかったのだと、今は思っています。

あの店には今も行くことがあります。レジ横には変わらず、小さなお菓子が並んでいます。あの店員さんが今も働いているのかは、もう分かりません。


※本記事は、tendが独自に実施したアンケートで寄せられた40代男性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています

※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。

RANKING

OTHER ARTICLES

NEW 2026.10.05(Mon)

「えー、かわいい!これ着る!」買い物に失敗したと思った母。数年後、娘を見て笑った理由
tend Editorial Team

NEW 2026.10.05(Mon)

「昨日のは、なんていう曲?」隣のお風呂の歌声を気にしていた私。だが、ママ友の一言で固まった理由
tend Editorial Team

NEW 2026.10.05(Mon)

「Mなら余裕だよ」とサイズ表を見なかった私。だが、届いたジャケットを長男が着て分かった勘違い
tend Editorial Team

RECOMMEND

2026.07.03(Fri)

「祖母をしばらく見てほしいの」十年連絡もなかった親族。預かった私に待っていたのは
tend Editorial Team

2026.03.16(Mon)

「えっ、嘘。何も聞いてないよ」久々に再会した親友が、私に結婚する事実を教えてくれなかったワケ
tend Editorial Team

2026.09.23(Wed)

「貯金あるんだから貸してよ」返してもらえないまま続いた義母への援助。だが、娘が生まれた夫婦が返した一文
tend Editorial Team