「残りの995円は返してもらえるんじゃないの?」5円のレジ袋に千円の金券を出した男性客。だが、店長が説明したルール
トレーに置かれた1枚の券
土曜の昼前、私は週末の買い出しでスーパーのレジに並んでいました。
前の男性の番になったとき、台の上に商品がひとつもないことに気づき、何となくその背中を見ていました。
「すみません。袋だけ1枚もらえます?」
「はい。レジ袋は5円になります」
店員の女性が答えると、男性は財布を開き、「千円」と印字された金券を1枚、トレーの上に置きました。
店員は券を確認すると、少し困ったような表情を見せました。
「恐れ入ります。こちらの金券はお釣りが出ないものですが……」
すると男性は、驚いたように顔を上げました。
「え?じゃあ残りの995円はどうなるの?」
「申し訳ありません。差額を現金でお返しすることができないんです」
「でも、これ千円分の券なんでしょ?5円の袋を買ったら、残りは返してもらえるんじゃないの?」
「すみません。この券はそういう使い方ができなくて…」
店員が説明しても、男性は納得できない様子でした。
「いや、それじゃ995円分なくなるってことでしょ?それはおかしくない?」
少しずつ男性の声が大きくなり、後ろに並んでいた人たちも何事かと顔を上げ始めました。
張り紙を示した店長
店員が店長を呼ぶと、ほどなくエプロン姿の店長がやってきました。
「お待たせしました。どうされましたか?」
男性は金券を見せながら、やや強い口調で説明しました。
「この券で5円の袋を買いたいんだけど、残りは返せないって言うんですよ。千円分あるのに、おかしくないですか?」
店長は途中で遮らずに話を聞いてから、レジ横の柱に貼られた案内を示しました。そこには、商品券や金券を利用した場合、お釣りは出ないことが書かれていました。
「申し訳ありません。こちらの金券は、お買い物にはお使いいただけますが、差額を現金でお返しすることはできないんです」
「別に現金に換えたいわけじゃないですよ。袋を買うだけなんだから」
男性がそう返すと、店長は声を荒らげることなく答えました。
「はい。ただ、いくらのお買い物でも、お釣りをお返しできない決まりは同じなんです」
男性は張り紙を見ながら、まだ納得できない様子で聞き返しました。
「じゃあ、これで5円の袋を買ったら、995円分は戻らないってこと?」
「そうなります。ですので、袋だけでしたら5円を現金でお支払いいただくのがよろしいかと思います」
男性はしばらく黙っていました。
やがて金券を財布へ戻すと、「…じゃあ、もういいです」とだけ言い、袋を買わずに出口のほうへ歩いていきました。
店長がこちらへ一礼して下がると、止まっていた列が再び動き始めました。
私の番になると、店員の女性は「大変お待たせいたしました」と小さく頭を下げ、いつものように商品のバーコードを読み取り始めました。
男性にも男性なりの考えがあったのでしょう。それでも、店の決まりを変えることはできません。感情的にならず、同じ内容を丁寧に説明し続けた店長の対応が印象に残った出来事でした。
※本記事は、tendが独自に実施したアンケートで寄せられた40代男性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。














