「ガソリン代、あとで4人で割るんだよね?」と念を押す友人。だが、宿で私が高速代のレシートも出すと黙った
「4人で割らないとズルいよね」
50代になり、子育てもひと段落したころ、長く付き合ってきたママ友4人で1泊旅行へ出かけた。
車を持っているのは私だけだったため、自然と私が車を出し、運転も担当することになった。
出発の朝、助手席の友人が声をかけてくれた。
「運転、大丈夫?疲れたら言ってね」
「うん。私も久しぶりの遠出だから楽しみなの」
高速道路に入ると、料金所では私が高速代を支払った。観光地に着いてからの駐車場代も、その都度私が財布から出した。
あとでまとめて精算すればいいと思っていたので、その場では誰にも何も言わなかった。
午後、山道へ入る前にガソリンスタンドへ寄ったときだった。
後部座席の友人が、私の手元を見ながら言った。
「ガソリン代、あとで4人で割るんだよね?」
「うん、そのつもりだよ」
すると友人は念を押すように続けた。
「だよね。4人で来てるんだから、ちゃんと割らないとズルいよね」
「……うん」
割り勘にすることに異論はない。
ただ、「ズルい」という言葉が妙に引っかかった。
さらに宿へ向かう車の中でも、その友人はもう一度ガソリン代の話を持ち出した。
「さっきのガソリン代、忘れないようにしようね。ちゃんと4人で割ろう」
私はハンドルを握ったまま、「分かってるよ」とだけ返した。
宿で並べた、3種類のレシート
宿に着き、夕食を終えて4人で部屋に戻った。
しばらくして旅費を精算する話になったとき、私はバッグから財布を取り出した。
「じゃあ、今日の分を計算しようか」
そう言って、まず座卓に置いたのはガソリンスタンドのレシートだった。
例の友人が「うん、それを4人で」と口を開いたところで、私はその横にもう一枚置いた。
高速道路のレシート。
さらに、駐車場のレシートも並べた。
「ガソリンだけじゃなくて、高速代と駐車場代も私が払ってるから、全部4人で割ろうか」
部屋が一瞬、静かになった。
別の友人が、レシートを手に取って目を丸くした。
「えっ、高速代もずっと出してくれてたの?」
「駐車場も?全然気づいてなかった。ごめん」
私は首を振った。
「いいよ。あとでまとめればいいと思ってたから」
そして、ガソリン代を気にしていた友人のほうを見た。
「せっかくだから、全部きっちり4人で割ろう。そっちのほうが公平だもんね」
友人は並んだレシートを見たまま、しばらく黙っていた。
やがて、小さな声で答えた。
「…そうだね。全部割ろう」
先ほどまで何度も「4人で」と言っていた勢いはなくなっていた。
運転していた私に、今度は3人が言った
金額を計算し始めると、助手席に座っていた友人が私に言った。
「でもさ、車まで出して、一日ずっと運転してくれてるでしょ」
もう一人もすぐにうなずいた。
「そうだよ。明日のお昼くらい、私たちで出そうよ」
すると、ガソリン代のことを何度も口にしていた友人も少し気まずそうに笑った。
「うん。私も出す」
「じゃあ、お言葉に甘えようかな」
私はそう答えた。
言い返して揉めるより、実際にかかったものを全部並べたほうが話は早かった。
「公平にしよう」と言うなら、本当に全部を公平にする。
座卓に並んだ3種類のレシートを見ながら、私は少しだけ胸のつかえが取れた気がした。
※本記事は、tendが独自に実施したアンケートで寄せられた50代女性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。














