「こんなに並んでるのよ、嫌よ!」レジに割り込んだ客。店長に注意されてもどかない客が、他の客に言われた正論
列の横から置かれた、いっぱいのかご
レジ台の下にある呼び出しボタンを、自分で押したのはあの日が初めてでした。
小売店でレジの仕事をしていたころ、夕方の一番混み合う時間帯のことです。
その日は私と隣のレジの同僚の2人で対応していましたが、列は通路の先まで伸びていました。
そこへ50代くらいの女性客が列の横から入ってきて、商品でいっぱいのかごを私のレジ台に置いたのです。
私も同僚も、先頭で待っていた60代くらいの女性客も、一瞬何が起きたのかわかりませんでした。
女性客は気にする様子もなく、かばんから財布を取り出そうとしていました。
「お客様、恐れ入りますが、列に並んでお待ちください」
そう声をかけると、女性客は手を止めました。
「すぐ終わるんだから、いいでしょう」
「後ろのお客様も順番にお待ちですので…」
女性客は「はあ…」と大きく息を吐きました。
先頭の女性客が困ったようにこちらを見ました。
私だけでは対応が難しいと感じ、レジ台の下に手を伸ばして呼び出しボタンを押しました。
店長が静かに示した列の最後
ほどなくして、40代の店長が売り場の奥から早足でやってきました。レジ台のかごと列を見たあと、私に尋ねました。
「どうしました?」
「列に並んでいただくようお願いしたんですが、こちらで会計をしたいと…」
店長は小さくうなずくと、女性客に向き直りました。
「恐れ入ります。みなさん順番にお並びいただいています。列の最後はあちらです」
声を荒らげることなく、店長は通路の角を手で示しました。
女性客は店長と列を交互に見ました。
「だって、こんなに並んでるのよ、嫌よ!」
すると、先頭で待っていた女性客が静かに声をかけました。
「私たちも待っていますから、順番に並びましょう」
店長もそれ以上責めることはせず、女性客の返事を待っていました。
しばらく黙っていた女性客は、やがてレジ台のかごを持ち上げました。そして目を伏せたまま、通路の角にある列の最後へ向かっていきました。
店長は私に目で合図をすると、そのまま売り場へ戻っていきました。
私は先頭のお客様に向き直ります。
「お待たせして、すみませんでした」
「大丈夫ですよ。お願いします」
差し出されたかごを受け取り、私は会計を始めました。
少し離れた列の最後には、先ほどの女性客がかごを持って立っていました。大きな言い争いにはならず、店長が決まりを淡々と伝えたことで、ようやくいつものレジの流れに戻りました。
※本記事は、tendが独自に実施したアンケートで寄せられた30代女性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。














