「母ちゃんに、昔みたいに叱られた」毎朝7時に響く隣のバイク音。相談した翌朝、息子さんが取った行動
毎朝7時に響く、隣のバイクの音
毎朝7時になると、隣の家からバイクの大きな音が響いてきた。
エンジンをかけてしばらくしてから出発するので、朝は決まって音が続く。
帰ってくるときも、遠くから聞こえてくるほどだった。
乗っているのは、隣の家の40代の息子さんだ。僕が子どものころには、自転車の補助輪を外す練習に付き合ってくれたこともある。
町内の清掃の日、落ち葉をまとめていると、自治会の班長さんが小さくため息をついた。
「あのバイクの音、朝はけっこう響くよね」
僕も気になっていたが、隣のおばさんには昔から何かと世話になっている。
「でも、なかなか言いにくいですよね」
「そうなのよ。変に気まずくなるのも嫌だしね」
結局、その日はそれ以上話さなかった。僕自身、隣の家で夕飯をごちそうになった昔のことを思い出すと、簡単には切り出せなかった。
回覧板を届けたとき、思い切って伝えた
数日後、回覧板を届けるために隣の呼び鈴を押した。
おばさんはいつものように笑顔で出てきた。靴箱の上には、息子さんが昔使っていたグローブが置かれている。
回覧板を渡したあと、僕は思い切って口を開いた。
「おばさん、ちょっと話してもいいですか」
「なあに?」
「朝のバイクなんですけど、けっこう周りに音が響いていて…」
おばさんは驚いたように目を見開いた。
「まあ、そんなに聞こえてたの?」
「この前、町内の清掃のときにも少し話が出てました」
しばらく黙ったあと、おばさんは困ったように眉を下げた。
「そうだったの。言ってくれてありがとうね」
その晩、隣からおばさんの声が聞こえてきた。
「ご近所に迷惑かけるんじゃないよ」
翌朝、聞こえてきたのはエンジン音ではなかった
翌朝7時。いつものエンジン音が聞こえてこない。
代わりに、タイヤがアスファルトを転がる音がした。カーテンを開けると、息子さんがバイクを押して門を出るところだった。
僕が外へ出ると、息子さんはこちらに気づいて足を止めた。
「うるさかったよな、ごめん」
「大通りまで押していくんですか?」
「ああ。そこでエンジンかけるよ。母ちゃんに、昔みたいに叱られた」
そこへ犬の散歩をしていた班長さんが通りかかった。押されていくバイクを見て、少し驚いた顔をする。
「あら、今日は静かだと思ったら」
息子さんは少し照れくさそうに片手を上げ、そのままバイクを押して角を曲がっていった。
二階の窓からは、おばさんがその背中を見送っていた。
言いにくいからと黙ったままでは、相手も気づけないことがある。長く付き合いのある相手だからこそ、困っていることを落ち着いて伝えるのも大切なのだと感じた出来事だった。
※本記事は、tendが独自に実施したアンケートで寄せられた30代男性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。














