「これなら母さんも喜ぶんじゃない?」嫁の手料理に次々手を入れた義母。帰りの車で夫が謝ってくれた瞬間
喜んでもらえると思っていた手料理
去年の元旦、夫の実家で親戚が集まることになり、私は煮物や和え物をいくつか作って持っていきました。
前日の夜から準備したもので、夫にも味を見てもらいながら仕上げた料理です。
「これなら母さんも喜ぶんじゃない?」
夫にもそう言ってもらえたので、少し緊張しながらも、私は楽しみにしていました。
夫の実家へ着くと、義母は料理を受け取ってくれました。
ただ、煮物をひと口味見したところで、表情が少し変わったのです。
「うちのお正月は昔からこの味なの。ちょっと薄いわね」
そう言うと、義母は煮物を鍋へ移し、調味料を足し始めました。
「あの、夫にも味を見てもらって作ったんですけど…」
私がそう伝えても、義母は「でも、こっちの家ではこのくらい濃いほうがいいのよ」と手を止めません。
和え物にも「もう少し味があったほうがいいわね」と調味料を足され、結局、私が作ってきた料理の多くに義母の手が入りました。
長年、正月料理を仕切ってきた義母にとっては、いつもの味に整えたかっただけなのかもしれません。
それでも、時間をかけて準備した料理を目の前で次々と直されていくのは、やはりつらいものでした。
「ほら、このくらいの味のほうがみんな好きでしょう?」
食卓で義母が親戚にそう声をかけると、何人かは困ったように笑っています。
私は「そうですね」と笑ってみせましたが、胸の奥には寂しさが残りました。
夫は向かい側に座っていました。何度かこちらを気にするように見ていましたが、その場では義母に何も言いませんでした。
私はそれが、料理を直されたこと以上に悲しく感じていました。
帰りの車で夫が口を開いた
親戚との食事を終え、帰るころにはすっかり日が暮れていました。
車に乗ってからも、私はあまり話す気になれず、助手席から外を眺めていました。
しばらく走り、赤信号で車が止まったときです。
夫が前を向いたまま、小さな声で言いました。
「……今日はごめん」
私は思わず夫の横顔を見ました。
「母さん、昔から正月の料理にはこだわりが強いんだ。でも、だからって、せっかく作ってくれたものにあんなふうに手を入れていいわけじゃないよな」
夫も、食卓でのやり取りをずっと気にしていたようです。
「俺もその場で言えばよかった。黙ってたから、余計につらかったよな」
その言葉を聞いて、張りつめていた気持ちが少しだけほどけました。
「料理のことも嫌だったけど、何も言ってくれなかったのが一番悲しかった」
私がそう伝えると、夫は短く「うん」と答えました。
そして、「次からは、母さんがやりすぎたら俺から言うよ」と約束してくれました。
義母の考え方がすぐに変わるとは思いません。
それでも、私がなぜ傷ついたのかを夫が分かってくれたことで、その日の出来事を少しだけ違う気持ちで振り返れるようになりました。
あの帰り道で交わした会話は、今でも心に残っています。
※本記事は、tendが独自に実施したアンケートで寄せられた40代女性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。














