「急がなくて大丈夫ですよ」混雑するレジで焦る私。だが、年配男性の一言に救われた
混雑するレジで焦る私
学生時代、接客のアルバイトをしていたときの出来事です。
その日は夕方から来店するお客様が増え、レジには途切れることなく列ができていました。
ほかのスタッフも品出しや問い合わせの対応に追われており、しばらくの間、私は一人で会計を担当していました。
お客様を待たせてはいけないと思うほど、手元の動きがぎこちなくなります。商品のバーコードを読み取るたびに、後ろの列が伸びていくような気がして、私はますます焦っていました。
そんな中、少し急いだ様子の年配の男性が列に並びました。
何度か売り場の時計を確認していたため、私は「この方も急いでいるのかもしれない」と思い、会計の手を速めようとしました。
ところが、焦ったせいで商品の向きを直すのにも手間取り、小銭を受け取る際にも落としそうになってしまいました。
私はお客様に向かって、何度も「お待たせして申し訳ありません」と頭を下げました。
「急がなくて大丈夫ですよ」
ようやく年配の男性の順番になり、私は急いで商品を受け取ろうとしました。
すると男性は、落ち着いた声でこう言いました。
「急がなくて大丈夫ですよ」
思いがけない言葉に、私は一瞬手を止めました。
男性は、私が慌てていることに気づいていたようです。
「ゆっくりでいいから、間違えないようにね」
そう言って、穏やかに笑ってくれました。
急かされるかもしれないと思い込んでいた私は、そのひと言で少し肩の力が抜けました。
一度深呼吸をしてから、商品を一つずつ確認し、会計を進めました。
会計を終えて商品を渡すと、男性は「ありがとう」と言って受け取りました。
そして、財布をしまいながら、もう一度私に声をかけてくれました。
「忙しいのに、丁寧にやってくれてありがとう」
それは、ほんの短い言葉でした。
しかし、失敗しないようにと必死になっていた私にとって、その気づかいはとてもありがたいものでした。
男性が帰ったあとも店内の忙しさは続きましたが、それまでより落ち着いてレジに向き合えるようになりました。
接客の仕事では、何気ないひと言に緊張させられることもあれば、反対に救われることもあります。
何年もたった今でも、忙しいときほど落ち着いて行動しようと思えるのは、あの日の男性がかけてくれた「急がなくて大丈夫ですよ」という言葉を覚えているからです。
※tendが独自に実施したアンケートで集めた、30代・男性読者様の体験談をもとに記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。














