「あんたら指定券あるのか?」修学旅行で大人たちに声を荒らげた同級生。だが、確認して分かった勘違い
指定された車両に、知らない大人たちがいた
高校の修学旅行で、私たちは特急に乗って目的地へ向かうことになっていた。家が近い生徒は途中の駅から乗る決まりで、私も同級生数人とホームで列車を待っていた。
事前に聞いていたのは、特急のうち4両が私たちの学校の団体用として確保されているということだった。
ところが指定された車両に乗り込むと、何席かに見知らぬ大人たちが座っていた。年配の女性たちは座席を向かい合わせにして話し、男性の一人は新聞を広げている。
私たちは荷物を持ったまま通路で立ち止まった。
すると、隣にいた同級生が突然声を張った。
「あんたら、指定券あるのか?」
大人たちの会話が止まった。
私は驚いて同級生の腕を引いた。
「おい、ちょっと待てって」
しかし同級生は興奮したままだった。
「だから、指定券あるのかって聞いてるんだよ!」
年配の女性が戸惑った顔をした。
「え……持ってますよ」
「でも、ここ俺たちの学校の席なんですけど」
「もういいって。先生呼ぼう」
私がもう一度止めると、同級生は不満そうにこちらを見た。
「だって、俺たち座れないじゃん」
「分かるけど、怒鳴ることないだろ」
周りの生徒たちもどうしていいか分からず、通路で黙ったままだった。
先生はその場で決めつけなかった
騒ぎに気づいたのか、隣の車両にいた担任の先生がやってきた。
「どうした?何かあったのか」
同級生が大人たちのほうを見た。
「先生、この人たちが俺たちの席に座ってるんです」
先生は車内を見回し、大人たちに軽く頭を下げた。
「すみません。こちらは学校の団体用として取っている車両なんです。ただ、こちらでは判断できないので、車掌さんに確認してもらいますね」
男性は少し困ったように新聞をたたんだ。
「いや、私たちも指定席を取ってますよ。ここだと思って座ったんですけど」
「そうなんですね。少しお待ちください」
先生は私たちに「ここで待ってて」と言い残し、車掌さんを呼びに行った。
少しして戻ってきた車掌さんが、大人たちの切符を順番に確認した。
「お客さま、こちらではなく前の車両のお席ですね。号車をお間違えになっているようです」
男性が慌てて自分の切符を見直した。
「あ、本当だ……。席番号だけ見て、号車をちゃんと見てなかった」
隣の女性も切符をのぞき込み、申し訳なさそうに笑った。
「ごめんなさい。すっかりここだと思い込んでました」
「お席までご案内しますね」
車掌さんに促され、大人たちは荷物を持って立ち上がった。
正しくても、怒鳴る必要はなかった
最後に年配の女性が私たちへ頭を下げた。
「ごめんなさいね。びっくりさせちゃって」
すると、さっきまで強い口調だった同級生が気まずそうに目をそらした。
「……俺も、すみませんでした」
女性は少し笑って、「いいのよ」と答え、そのまま車掌さんについていった。
大人たちが移動すると、先生は同級生のそばへ来た。
「自分たちの席なのに、って腹が立ったのは分かるよ」
同級生は黙ってうなずいた。
「でも、こういうときはいきなり怒鳴らないでくれ。先生か車掌さんを呼べば確認できるから」
「……はい」
「今回はただの間違いだっただろ」
「はい。すみません」
同級生は耳を赤くして、自分の席へ向かった。
私たちもそれぞれ決められた席に腰を下ろした。窓側に座った同級生は、しばらく黙ったまま外を眺めていた。
結果的に、大人たちはわざと私たちの席を使っていたわけではなく、単に号車を間違えていただけだった。
こちらの言い分が正しいと思ったときほど、まず事情を確かめることも必要なのだと感じた出来事だった。
※本記事は、tendが独自に実施したアンケートで寄せられた50代男性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。














