「二階の窓。カーテンのすき間から、ずっと」姪と友人が言った、向かいの奥さんの行動。後日、奥さんが何気なく口にした一言に固まった私
最初に気づいたのは姪だった
道をはさんだ向かいの家には、70代くらいのご夫婦が住んでいる。
庭木はいつもきれいに手入れされ、朝になるとご主人が門の前を掃き、奥さんがその横で鉢植えに水をやっていた。
最初に気になることを言われたのは、姪が遊びに来た日のことだった。
夕方、門の外まで見送ると、姪が向かいの家の二階をちらりと見上げ、私に顔を寄せた。
「おばさん、向かいの人、見てたよ」
「え、どこから?」
「二階の窓。カーテンのすき間から、ずっと」
私は少し戸惑ったものの、「たまたま外を見てたんじゃない?」と返した。
姪はまだ何か言いたそうだったが、そのまま帰っていった。私は気になりながらも、向かいの窓を確認することはしなかった。
ひと月後、友人まで同じことを言った
それからひと月ほどして、今度は古くからの友人が遊びに来た。
帰りぎわ、玄関で靴をはいていた友人が、ふと思い出したように言った。
「向かいの人、見てたね」
思わず友人の顔を見た。
「あなたもそう思った?」
「うん。さっき門を出たとき、二階のカーテンが動いたから」
姪とは別の日なのに、ほとんど同じことを言われた。その偶然が妙に引っかかり、友人を見送って家に戻ったあとも、その言葉が頭から離れなかった。
その夜、妹に電話で話してみた。
「同じこと言われたの?」
「姪と今日の友人。二人とも、向かいから見られてたって」
妹は少し黙ってから、「二人とも同じことを言うなら、ちょっと気になるね」と答えた。
そう言われて、自分が出かけるときのことも思い返した。門を出るとき、視界の端で向かいの窓のカーテンが動いたように感じたことは何度かあった。ただ、そのたびに深く考えないようにしていたのだ。
翌朝、奥さんが口にした一言
翌朝、門の前で向かいの奥さんと顔を合わせた。
「おはようございます。昨日はお客さんだったのね」
「ええ、友人が来てくれて」
すると奥さんは、にこやかなまま続けた。
「夕方までいらしたものね。門でのお見送り、寒かったでしょう」
私は一瞬、返事に詰まった。
奥さんはいつもと変わらない様子で、ご主人も箒を持ったまま軽く会釈をしている。嫌味を言われたわけでも、何か迷惑をかけられたわけでもない。
それでも、昨日の友人が帰った時間や、私が門まで見送ったことまで知っている。そのことが、妙に心に残った。
あれから何年もたつ。私は今も同じ家に住んでいて、近所付き合いで困ったことはない。
ただ、玄関のドアを開ける前に、向かいの窓を一度確認する癖だけは残っている。
今日も門に手をかけたところで、向かいの二階のカーテンが、静かに少しだけ開いた。
※本記事は、tendが独自に実施したアンケートで寄せられた50代女性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。














