「毎週2回、結局僕が片づけています」ネットの外に置かれるごみ。管理会社が集積所に貼り出した一枚
月曜と金曜、ほうきを持って外へ出る
僕が長く暮らしているアパートでは、ごみの収集が毎週月曜と金曜にある。
カラスの多い通りなので、ごみ袋は集積所にあるカラスよけネットの下へ入れることになっていた。
ネットの端を石で押さえておくのも、いつの間にか僕の習慣になっていた。
ところがこのところ、ネットの外にごみ袋が置かれている朝が続いた。いつも2つで、袋の結び方までよく似ている。
僕が気づくころにはカラスにつつかれ、野菜くずや丸めたティッシュが電柱の根元まで散らばっていた。
ほうきで掃いていると、隣の部屋の年配の奥さんから声をかけられることもあった。
「またですか。朝から大変ですね」
「ええ。放っておくわけにもいかないので」
そう答えながらも、破れた袋を拾うたびにため息が出た。
管理会社が各部屋へ注意の紙を配ってくれた週も、状況は変わらなかった。
写真と日付を持って管理会社へ
僕は散らかったごみを片づける前に写真を撮り、日付も手帳に残すようにしていた。ひと月ほどたったころ、その写真と手帳を持って管理会社を訪ねた。
対応してくれたのは、このアパートを担当している40代くらいの男性だった。
「注意の紙を入れたあとも続いていますか」
「はい。これが、そのたびに撮った写真です」
担当者は写真を机に並べ、手帳の日付と見比べていった。月曜と金曜の日付が、ひと月ぶん続いている。
「これ、毎回片づけてくださっていたんですか」
「はい。毎週2回、結局僕が片づけています」
担当者は少し表情を曇らせた。
「そうでしたか。何度もありがとうございます。こちらでも対応を考えます」
ネットの代わりに置かれたごみボックス
その週のうちに、集積所にはふたの付いた大きなごみボックスが設置された。正面には管理会社からの張り紙も貼られていた。
「ごみは必ずボックスの中へ入れてください。外に置かれると、カラスなどによって散乱する原因になります」
金曜の朝、僕が外へ出ると、ボックスの前に20代くらいの男性が立っていた。両手には、ごみ袋が2つある。
男性はいったん袋を地面へ置きかけたが、張り紙を読むと手を止めた。
そしてふたを開け、袋を一つずつ中へ入れた。
ふたを閉めて振り返った男性と、ほうきを持っていた僕の目が合った。
男性は少し気まずそうに視線を落とした。
「…すみません。いつも片づけてもらってたんですね」
「これから中に入れてもらえれば大丈夫です」
男性は「すみません」ともう一度頭を下げ、そのまま通りへ出ていった。
それからは月曜も金曜も、ごみが集積所に散らばることはなくなった。朝になると持って出ていた僕のほうきも、ようやく出番がなくなった。
※本記事は、tendが独自に実施したアンケートで寄せられた60代以上男性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。














