「誰の自転車か分からないんです」自分の駐輪場所を使われた男性。だが、同じ区画に止めた住人が、最後に語った事情
帰るたびに、自分の場所に知らない自転車
自転車に乗るのが好きで、五十代の今も週末になると遠くまで走りに出る。
高価なロードバイクは部屋にしまい、普段使いのマウンテンバイクはマンションの駐輪場に置いている。そこは、部屋ごとに止める場所が決まっていた。
ところが、僕の区画に知らない自転車が止まっていることがあった。
仕方なく自分の区画から外へ動かし、通路をふさがない位置に寄せてから、自分の自転車を止める。
「またか…」
同じことが4度目になったとき、さすがに持ち主に直接伝えようと思った。
そこで、いつもより早く帰ってみたのだが、そんな日に限って僕の区画はきれいに空いている。
結局、誰が止めているのかは分からないままだった。
管理会社が始めた、番号で分ける方法
僕は管理会社へ相談した。後日、三十代くらいの女性の担当者が駐輪場まで来てくれた。
「自分の区画に別の自転車が入っていて」
「毎回、動かしていたんですね」
「はい。でも、誰の自転車なのか分からなくて」
担当者は区画を見渡してから、うなずいた。
「分かりました。まず、止める場所がもっと分かりやすいようにしましょう」
一週間もしないうちに、駐輪場の区画ごとに番号が貼られ、住人には同じ番号のシールが配られた。入口の掲示板にも管理会社からの通知が出た。
「自転車は、シールと同じ番号の区画にお止めください。番号のない自転車については、確認のため移動をお願いする場合があります」
これなら、さすがに間違えないだろう。そう思っていた。
もう一度止まっていた自転車の持ち主
ところが次の週、僕の区画にはまた同じ自転車が止まっていた。車体を見ても、番号のシールはない。
管理会社へ連絡すると、担当者はその自転車に、管理会社へ連絡するよう案内を付けてくれた。
その日のうちに担当者から電話があり、持ち主から連絡があったと聞いた。
本人が直接謝りたいと言っているとのことで、僕も了承した。
夕方、部屋のチャイムが鳴った。玄関に立っていたのは、二十代くらいの男性だった。
「すみません。越してきたばかりで、空いているところならいいと思って止めていました。何度もご迷惑をかけてしまって……」
「これからは番号を見れば分かりますから」
男性は頭を下げた。
そのあと一緒に駐輪場へ降りると、男性は管理会社から案内された自分の番号を確かめ、そこへ自転車を止め直した。
ちょうど自転車を出しに来た子ども連れの女性も、柱を見ながら子どもに声をかけていた。
「うちは7番だって。覚えておこうね」
「7番ね」
それ以来、僕の区画に知らない自転車が入ることはなくなった。
誰が悪いのか分からないまま直接相手を探すよりも、まず管理会社に相談したことで、駐輪場全体のルールも分かりやすくなった。帰宅するたびに自転車を動かす必要がなくなり、それだけでもずいぶん気が楽になった。
※本記事は、tendが独自に実施したアンケートで寄せられた50代男性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。














