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2026.03.09(Mon)

「一歩も動きたくない…」雨上がりの濡れたベンチに座ろうとした私。だが、そんな私に向けられた男子高校生の優しさとは

「一歩も動きたくない…」雨上がりの濡れたベンチに座ろうとした私。だが、そんな私に向けられた男子高校生の優しさとは

濡れたベンチと、泥だらけのヒーロー

仕事終わりの駅前。体にまとわりつくような、ねっとりとした熱気。

40代も半ばを過ぎると、一日の終わりの疲労感は「重り」のように足腰に蓄積していく。

一歩踏み出すたび、ふくらはぎがパンパンに張って悲鳴を上げているのがわかる。

「はぁ……。もう、一歩も動きたくない……」

そんな独り言が漏れた瞬間、追い打ちをかけるように空が急変。

バケツをひっくり返したような夕立が、アスファルトを激しく叩きつけ始めた。

慌てて逃げ込んだ駅前の大屋根。

20分ほど立ち往生してようやく雨は上がったものの、待っていたのは、さらに蒸し暑さを増した湿った空気。

「余計にひどくなったみたい。座りたい……。でも……」

バスを待つ間、どうしても足を休めたくてベンチに目を向ける。けれど、そこにあるのは無情にも雨水をたっぷりと吸った、びしょ濡れの木。

「……やっぱり、無理よね」

がっかりして、重いバッグを肩にかけ直した、その時。

男子高校生の優しさ

「あ、これ。今すぐ座れるようにしますね!」

不意に横から届いた、弾むような声。

見れば、泥だらけのユニフォームを着た男子高校生が、私とベンチを交互に見ていた。

「えっ?」

驚く私をよそに、彼はスポーツバッグをガサゴソと探ると、使い込まれた大きなタオルを引っ張り出した。そして、迷いなくベンチの雨水をダイナミックに拭き始めたのだ。

「ちょっと待って!それ、自分のタオルじゃないの?汚れちゃうわよ」

慌てて制止する私。

すると彼は、タオルを動かす手を止めず、ニカッと白い歯を見せて笑った。

「あはは、いいんっすよ!さっきお姉さん、すごく足が痛そうにベンチ見てたから。自分、これでも部活で鍛えてるんで体力はあるけど、お疲れの人は座らないと!」

私の小さな視線の動きに、彼は気づいていたのだ。

手際よく、あっという間に水気が拭き取られていくベンチ。

「はい、お待たせしました! 乾きましたよ」

「……本当に、いいの? ありがとう、助かるわ」

彼に促されるまま、恐る恐る腰を下ろす。

伝わってきたのは不快な湿り気ではなく、しっかりと水気が引いた木の、どこか温かい感触。

その瞬間。

すーっと、驚くほど冷たくて心地よい風が、広場を通り抜けていった。

「……あ、涼しい……」

「あ、本当だ。雨上がりの風、最高に気持ちいいっすね!」

スマホを取り出しながら、隣で何気なく笑う彼。

その屈託のない優しさに触れた途端、体に溜まっていたドロドロとした疲れが、この涼風と一緒にどこかへ吹き飛んでいくような感覚に包まれた。

ただの通り雨が、彼のおかげで、今日一日を締めくくる「最高のご褒美」に変わった瞬間。

乾いたベンチから見上げた夕焼け空。

それは驚くほど鮮やかで、私の心はこれ以上ないほどスカッと、晴れやかに澄み渡っていた。

※tendが独自に実施したアンケートで集めた、40代・女性読者様の体験談をもとに記事化しています

※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。

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