「あっ」アプリで知り合った高スペック男性が見せた一瞬の動揺→指輪を抜いた手元に残った冷たいモヤモヤ
画面の中の彼は、現れた本人と寸分違わなかった
マッチングアプリ越しに「いいね!」が届いた男性のプロフィールには、私の好みがそろっていました。
誰もが名前を聞けば分かる会社の社員、有名大学卒、年齢も近く、独身。横顔の写真は柔らかい笑みを浮かべていて、いかにも穏やかそう。
40代の私にとって、こんなにスペックの揃った相手から声をかけられるのは、正直久しぶりのことでした。
何度かのメッセージを経て、初対面の約束をしたのは平日の夕方。
駅前で待っていると、人混みのなかから、写真とまったく同じ姿の男性が現れました。
身長、輪郭、髪型、立ち姿。アプリの加工で盛られていた、ということもなく、本当に画面のまま。
(これは久々に、当たりかもしれない)
そんな期待が、自分でも分かるくらい胸の中でふくらんでいきました。挨拶を交わすと声まで好み。隣に並んで歩き出した時点で、私の体感はもう半分デート気分です。
けれど、その期待が冷えていくのは一瞬でした。
左手薬指から外された銀色と、ジャケットの内ポケット
歩き出して数歩のところで、男性が小さく声を漏らしました。
「あっ」
何かを忘れた、というよりは、何かに気づいた、という響き。私の視線は、無意識のうちに彼の左手に落ちていました。
そこに見えたのは、薬指にはまった銀色の指輪。
同時に、彼の右手が左手薬指へと伸び、慣れた指先で指輪を抜き取って、ジャケットの内ポケットへとそっと滑り込ませたのです。
動作はあまりにも滑らかで、たぶん、初めての所作ではありません。
そして彼は、何事もなかったように顔を上げて言いました。
「お茶しょっか!」
明るい声、屈託のない笑顔。けれど、その笑顔のすぐ脇で、ジャケットの内ポケットだけが私の頭の中で重さを増していきます。
カフェの席に着いてからも、彼はにこやかに話し続けました。仕事の話、休日の趣味、これまで付き合った人の話。
(プロフィール、独身ってちゃんと書いてあったよね)
頭の中で何度も再確認してしまいます。けれど、目の前で笑っている男性の表情からは、後ろめたさが少しも漏れてきません。
あの慣れた指の動き。あれを「うっかり外し忘れていた指輪」と呼ぶのは、さすがに無理がある気がして。
店を出て駅で別れたあと、私はしばらく改札の前から動けませんでした。手の中のスマホには、彼からの「楽しかったね」のメッセージ。
返事を打つ指先だけが、いつまでも冷たいまま動かなかったのです。
※tendが独自に実施したアンケートで集めた、40代・女性読者様の体験談をもとに記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。














