「入社したら法務をやってください」経理で内定したのに入社3日前に届いた電話。退職後、職場の悲しい事実を知った
経理で入ったはずだった
転職活動を終えてほっとしていた。法律関連の書類を扱う会社への入社が決まり、担当は経理職だった。
簿記の資格取得に時間をかけ、前職でもコツコツと経験を重ねてきた。ようやく希望する仕事に就けると思っていた。
内定から3週間近く、特に変わった連絡もなく過ごしていた入社3日前のことだ。
会社の番号から電話が入った。
出ると、人事担当者の声で短い一言だった。
「入社したら法務をやってください」
経理として入社準備をしていたわたしに、未経験の部署が突然押しつけられた。
経理として準備してきた気持ちが、その一言で宙に浮いた。法務は未経験の分野だった。なぜ3週間ある間に伝えなかったのか。受け入れるしかなかったが、飲み込んだものは小さくなかった。
月曜日、出社した。
初日、丸投げされた書類の山
配属先の直属の上司は、挨拶もそこそこに書類の束を手渡してきた。
「これ、見ておいてください」
説明はなかった。どの書類が何を意味するのか、何から手をつければいいのか、何もわからないまま机に座った。
おそるおそる質問をすると、「自分で調べてみて」という返答が来た。言葉は短く、話しかけにくさがあった。
法務は未経験だった。前職とも分野が異なる。それでも誰かが丁寧に教えてくれることはなく、先輩社員たちも余裕なさそうに働いていた。
周囲に声をかけるタイミングを計りながら、一日一日をやり過ごすことが精一杯だった。「できていないことに気づかれていないだろうか」という不安が、常に頭のどこかにあった。
「私は、経理希望で入りました」
そう言えなくなっていた。
1年で辞めて、聞いた話
なんとか1年間働いて、退職した。
退職の挨拶をしたとき、引き止める言葉は上司からは来なかった。
しばらく経って、以前親しくしていた同僚から連絡が来た。
世間話をするうちに、こんな言葉が出てきた。
「あなたが退職してから、15人くらい辞めてるよ」
数字を聞いた瞬間、胸の中に何かが落ち着いた。
「やっぱり、そういう会社だったんだな」と思った。
モヤモヤは今も消えているわけではない。入社3日前の電話、初日の丸投げ、聞きにくい空気。どれも「たまたま」と思いたかったが、続く退職者数が教えてくれた。
自分の感じていた違和感は、思い過ごしではなかったのだと。
あの1年間が完全に無駄だったとは言わない。でも、「経理でキャリアを積む」という選択肢は、一本の電話で消えたままだ。次の職場ではそのぶん慎重に会社を見るようになった。
それが、あの経験から得た唯一の収穫かもしれない。
※tendが独自に実施したアンケートで集めた、30代・女性読者様の体験談をもとに記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。














