「賞味期限、一応見て」と開封前に夫が言い出した意味。義母が送ってきた品を見て背筋が凍った
夫の一言の意味がわからなかった
結婚して最初の冬、義実家から宅配便が届いた。段ボールを開けようとしたとき、隣にいた夫がぽつりと言った。
「賞味期限、一応見て」
最初はその意味がよくわからなかった。
荷物が届いたのに、なぜ開ける前からそんなことを言うのだろうと不思議に思いながら、言われた通りに中身を確認すると、印刷された日付はすでに2ヶ月以上前のものだった。
「え、これ…使えないね」
そう伝えると、夫は「やっぱりか」と静かにうなずいた。
怒るでも苦笑いするでもなく、ただ淡々としていた。その落ち着きぶりが逆に気になって、「前からこういうことあるの?」と聞き返した。
「まあ、たまにというか、わりとよくある」
家族全員が黙って知っていた
義母は親戚からもらったものや自宅で余った食品をまとめて送ってくる習慣があった。
好意から来ていることはわかる。でも中に入っているものが古いことが少なくないらしく、義兄夫婦の家でも届くたびにひとつずつ確認するのが当たり前になっていると夫から聞かされた。
誰も義母には直接言わない。それぞれの家庭で静かに検品を続けている。
家族全員がその状況を知りながら、何事もないように荷物を受け取り続けている。次の正月に義兄夫婦と顔を合わせたとき、無言で目が合ってお互いに小さく苦笑いした。
言葉にしなくても、あの検品作業のことを思っていたのはたぶん同じだった。
数週間後、また荷物が届いた。箱の底から取り出したリンゴは、皮の一部が茶色く変色していた。
指で軽く触れると表面が柔らかく沈んだ。親戚からのもらいもので、長く置かれていたのだろう。状態を夫に見せると、「うん、捨てよう」と一言で片付けた。
(悪気はないんだろうけど、知らなかったら食べていたかもしれない)
義母を責める気持ちにはなれない。気持ちはありがたいし、毎月荷物をまとめてくれる手間も確かなものだ。
ただ、悪意ではないからこそ誰も止めないし止められない。その構造がどこか怖い。
それからは荷物が届くと、夫婦ふたりで中身をテーブルに並べ、日付を確認してから使うものと捨てるものに分けるようになった。
義兄夫婦も同じことをしているのかと思うと、不思議な連帯感と、言いようのない後ろ暗さが同時に押し寄せてくる。
今でも荷物が届くたびに夫が最初に「賞味期限、一応見て」と言う。あの一言が、結婚してから最初に覚えた、この家の合言葉になってしまっている。
※tendが独自に実施したアンケートで集めた、30代・女性読者様の体験談をもとに記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。














