「なんであんたばっかり」急な業務を手伝った私の陰口を言った同僚。だが、手伝ってもらった先輩の一言で状況が一変
誰も手を挙げないから、動いた
リサイクルショップでパートをしていた時期のことだ。
その日はスタッフが足りず、バックヤードでのネットの出品作業が止まっていた。
担当者が急に休みになり、商品の梱包も発送準備も積み上がったままになっていた。
店頭の状況に余裕があったので、先輩スタッフにやり方を教わりながら手を貸すことにした。
初めての作業でも、丁寧に説明を聞けば進められる内容だった。
商品写真を撮り、説明文を入力し、梱包して宛名シールを印刷する。
地道な作業だったが、少しずつ山が減っていくのが分かった。
バックヤードを担当していた先輩が、見るからにほっとした顔をしていた。
それだけで十分だった。誰かに頼まれたわけでも、特に期待されていたわけでもない。目の前に困っている状況があって、自分に余裕があったから動いた。それ以上でもそれ以下でもなかった。
聞こえよがしの声が飛んできた
しばらくして、同じ売り場の同僚が通りかかった。
作業の山がようやく半分ほど片付いたころだっただろうか、低い声が聞こえてきた。
「なんであんたばっかり…」
続けて、こちらには視線を向けないまま、ぼそりと言い足した。
「わたしもいるのに!」
自分から声をかけたわけでも、誰かを押しのけたわけでもない。
ただ動いただけなのに、聞こえよがしに繰り返されると気持ちが落ちた。その言葉を聞いた瞬間、頭の中が一気に白くなった気がした。その日は早退を申し出て、帰宅した。
帰りの電車の中でも、もやもやが抜けなかった。
何か間違ったことをしたのだろうかと考えても、答えが出なかった。手伝って損をしたような気持ちに、どうしてもなってしまった。
先輩が静かに動いていた
数日後に出勤すると、先輩からそっと声をかけられた。
「あのときのこと、ちゃんと見てたから。上にも話しておいたよ」
あの場に先輩がいたことに気づいていなかった。
見ていてくれた人がいた。それだけで、ずっと胸に詰まっていたものが少しほどけた気がした。
話を聞くと、先輩は当日のうちに店長へ状況を共有してくれていたらしい。早退した日の夕方には、もう動いてくれていたのだという。
それ以降、あの同僚が聞こえよがしに何かを言ってくることはなくなった。職場での立場もひっそりと変わったようで、周囲への絡み方が以前より静かになった。
バックヤードに顔を出す頻度も減ったように見えた。
黙って見ていてくれる人が職場にいる。それだけで、ずいぶん心持ちが変わるものだと感じた出来事だった。一言の陰口で削られた気持ちが、誰かの一言で同じだけ戻ってくることもあるのだと知った。
※tendが独自に実施したアンケートで集めた、40代・女性読者様の体験談をもとに記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。














