ママ友「作ってくれないなんて冷たいなぁ」子供の絵本バッグを丸投げ→腹をくくった私の一言で態度が一変
得意なはずだったのに
裁縫は、昔から自慢のひとつだった。園で絵本バッグを手作りすると聞いたときも、むしろ腕が鳴った。休日にミシンを出し、半日で仕上げた。
その出来を、ママ友に何気なく話したのがきっかけだった。
「園のバッグ、もう作った?」
「作ったよ。ミシンであっという間」
「いいなぁ。私、仕事が忙しくて手が回らないの。実家にも義実家にも頼めないし」
そこまでなら、ただの相談だった。けれど彼女は、当たり前のように続けた。
「私の分も作ってくれない?材料は用意するからさ」
「いや、それは……」
言い渋った私に、彼女はわざとらしく口をとがらせた。
「作ってくれないなんて冷たいなぁ」
「ミシンあるんでしょ?ついでに一枚増えるだけじゃない」
笑いながらの一言だったが、私は返す言葉に詰まった。得意だと言ったばかりで、断りづらい。一枚も二枚も同じでしょ、という顔をされると、なおさらだ。
その晩は、もやもやした気持ちのまま眠れなかった。
断ることは冷たさじゃない
翌日、布の手触りを思い出しながら考えた。得意なことを楽しむのと、押し付けに応えるのは、別だ。一度引き受ければ、私は「いつでも頼める人」になってしまう。
引き受けたら最後、彼女は来年もまた当てにしてくる。そう気づいた瞬間、腹が決まった。得意なことを安売りするのは、もうやめよう。
送迎で顔を合わせたとき、私は自分から切り出した。
「昨日のお願いだけど、ごめんね。よその子の分まで作る余裕はないの」
「えっ、本気で言ってる?」
「うん。代わりに、手芸店で有料のオーダーをやってるところを紹介するよ」
彼女は一瞬、むっとした表情を浮かべた。けれど私は、目を逸らさずに言い切った。
「……じゃあ、いいわよ。自分でやるから」
そう言って、ぷいと背を向けた。断ってしまったあとの数日は、少し気が重かった。あの言い方は冷たかっただろうか、と。けれど、話はそこで終わらなかった。
数日後、園から一枚のおたよりが届いた。
「持ち物は各ご家庭でご準備ください」
はっきりとそう書かれていた。私と同じように困っていた家庭が、ほかにもあったのかもしれない。誰かが園に声を届けたのだろう。その一文に、彼女はもう何も言えなくなったようだった。
後日、自分で縫ったというバッグを子どもに持たせている彼女と、門の前ですれ違った。糸はあちこちで波打っていたけれど、ちゃんと形にはなっていた。
「自分で作れたんだね」
「……まあね」
気まずそうに会釈して、彼女は足早に去っていった。あれ以来、私を便利に使おうとする頼み事は、ぴたりと止んだのだった。
※tendが独自に実施したアンケートで集めた、40代・女性読者様の体験談をもとに記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。














