「悪気はないから仕方ない」と義母の嫌がらせを放置する夫。だが、義母に直談判した結果
頼りにならない夫
夕方、ベランダに残された私のブラウスを見て、今日もまたか、とため息が出た。
家族の洗濯物はとうに取り込まれているのに、私の分だけがいつも干しっぱなしなのだ。
義母の仕業だった。私が朝に干した洗濯物を毎日わざわざ干し直し、なぜか私の服だけは夕方まで放っておく。半年近く、同じことが続いていた。
たまりかねて、夫に打ち明けた。
「お義母さん、私の洗濯物だけ取り込んでくれないの。さすがにわざとだと思う」
「悪気はないから仕方ない」
夫はいつもの口ぶりで、こちらを見もしない。
「悪気がなくて、私の分だけ残せる?」
「ああいう性格なんだよ。考えすぎだって、波風立てるな」
「波風って、立ててるのはお義母さんのほうよ」
「もういいだろ、その話は」
夫はそう言って、テレビへ目を戻した。母親に何ひとつ言うつもりはないらしい。事なかれ主義のこの人に期待しても無駄だと、私はようやく腹をくくった。間に立ってもらうのはやめようと。
直談判
翌朝、干し直しをしている義母の隣に立った。震える声を抑え、できるだけ穏やかに切り出す。
「お義母さん、干し方が気になるなら、いつでも教えてください」
「……べつに、そういうわけじゃ」
「でも、私の分だけ取り込まずに残されるのは、悲しいんです」
義母の手がぴたりと止まった。一瞬、目が泳ぐ。それから観念したように、低い声でつぶやいた。
「あら、気づいてたの」
「ええ。毎日のことですから」
「悪気があったわけじゃないのよ」
「悪気がなくても、毎日続けば、ちゃんと意味は伝わりますよ」
静かに、しかしはっきりと言い切った。義母はもう何も言い返せず、視線をベランダの外へ逃がした。
いつも堂々としていた背中が、ひと回り小さく見えた。気まずそうに洗濯ばさみをいじるばかりで、それきり口を開かなかった。
夫を経由しない解決
その翌日から、嫌がらせはぴたりと消えた。私の洗濯物も、夕方には家族の分と並んで取り込まれている。義母は私の前で、以前のように偉そうに振る舞うこともなくなった。
事情を知らない夫は、しばらくして首をかしげた。
「なあ、母さん最近すっかり丸くなったよな。どうしたんだろ」
「私が直接話したの」
夫は目を丸くした。
「直接って……母さんに?」
「あなたが動いてくれなかったからね」
言葉に詰まった夫は、決まり悪そうに目を伏せた。「仕方ない」しか言わなかった人が、今度は自分が黙り込む番だった。
誰かに頼まなくても、自分の口で言えば、ちゃんと届く。乾いた洗濯物の重みを腕に感じながら、私は妙にすっきりしていた。
※tendが独自に実施したアンケートで集めた、40代・女性読者様の体験談をもとに記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。














