「愛想を振りまく必要なんてないでしょ」と私を無視するママ友。だが、こちらからママ友を無視すると
選り好みされる挨拶
保育園の送り迎えで、いつも数人のママを従えている人がいた。お気に入りには蜜のように甘いのに、そうでない保護者には無視や陰口を平気で向ける。その差は、見ていて気持ちのいいものではなかった。
私は彼女のお眼鏡にかなわなかったらしく、挨拶はことごとくスルーされた。
「おはようございます」
声をかけても、彼女の視線は私を通り抜けていく。あるとき、よその子のママとの立ち話で、こんな言葉が漏れ聞こえてきた。
「誰にでも愛想を振りまく必要なんてないでしょ」
私のことを言っているのは、明らかだった。
挨拶を大事にしてきた身としては、その考え方そのものに腹が立った。
「お迎え、ご一緒ですね」
当たり障りなく声をかけても、彼女はわざとらしくため息をついて、別のママのほうを向くだけ。私は機嫌をうかがうのに、いいかげん疲れてしまった。
追ってきた視線
ある朝、私は彼女への対応をすっぱり変えた。気を遣うのをやめて、彼女をそこにいない人として扱うことにしたのだ。
挨拶もしない。目も合わせない。ただ通り過ぎる。そのかわり、ほかのママには今まで通り明るく声をかけた。
「おはようございます。お子さん、もう熱は下がりました?」
はじめは気づかないふりをしていた彼女だが、二日、三日と過ぎるうちに、様子が変わってきた。私が園庭を歩くたび、視線が背中に張りつくのを感じる。
そして、ついに向こうから動いた。
「あの、おはよう。最近、忙しいの?」
あれほど無視していた相手が、笑顔を作って近づいてくる。私は足を止めず、小さく頭だけ下げて通り過ぎた。
翌朝はもっとあからさまだった。
「ねえ、なんか私、避けられてる気がして」
声に焦りがにじんでいた。お気に入りのママたちも、彼女のうろたえぶりに気づいて、ちらちらとこちらを見ている。
「気のせいじゃないですか」
私はそれだけ返して、表情を変えなかった。すがるような目をした彼女が、言葉を探しているのが分かる。
「私、別に、あなたのこと嫌いとかじゃ……」
言い訳が尻すぼみになり、彼女はとうとう黙り込んだ。気まずそうに目を伏せ、いつもの輪へそそくさと戻っていく。
さっきまでの取り巻きたちも、気づかわしげに彼女の顔をのぞき込んでいた。挨拶を選り好みしていた人が、今度は私の機嫌をうかがっていた。
一度こじれた信頼は、そう簡単には元に戻らない。今も私は、にこやかに寄ってくる彼女と、ほどよい距離を保ったまま付き合っている。
※tendが独自に実施したアンケートで集めた、40代・女性読者様の体験談をもとに記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。














