「あれだけ威張ってたのに」嫌がらせをしてくる近所の住人。だが、待っていた自業自得の結末とは
外ほうきを構えた仁王立ち
真向かいの家の女性とは、私が物心つく前から折り合いが悪かった。もとはといえば、道にはみ出した庭木の枝を切ってほしいと母が頼んだのが発端だ。
その人はなぜか腹を立て、以来ずっと、うちへの嫌がらせを続けてきた。生まれてからこの家に住んで46年、その大半がその人との攻防だったと言っていい。
家の前は、車一台がやっと通れる細い公道だ。その人はそこに車を停めては、私たちの外出を妨げた。抗議すればするほど、意固地になる人だった。
ある日、母とその人が些細なことで口論になった。腹の虫が収まらなかったのだろう。その人は、道が通れるか通れないかのきわどい位置に、自分の家の植木鉢をいくつも並べ始めた。
そして外ほうきを手に、道の真ん中で仁王立ちになった。うちの車が出てくるのを、今か今かとにらみつけている。
「邪魔なのはそっちだ、どかせ」
植木鉢をどければ通れるだろう、文句があるならお前がどけろ、という理屈だった。
もちろん、そこは公道である。それでもその人は、ほうきを構えたまま一歩も動かない。
自分の車で割った瞬間
幸い、その日は家族の誰も出かける用事がなかった。
「また、ずいぶん張り切ってるわね」
「放っておこう。相手にするだけ無駄だから」
「ほうきまで持ち出して、大げさよねえ」
私たちは窓の内側から、その仁王立ちを静かに眺めていた。いくら待っても、うちの車は一向に出てこない。
その人はしだいに焦れてきたようだった。やがてほうきを放り出し、自分の車に乗り込んだ。どこかへ出かけるつもりらしい。
次の瞬間だった。ガシャン、と鈍い音が響いた。窓の外に目をやって、私たちは思わず息をのんだ。
その人は、自分の車で、自分の並べた植木鉢に乗り上げていたのだ。鉢は無残に割れ、車の側面には長い傷が走っていた。
「自分で置いた鉢で、自分の車を…」
「あれだけ威張ってたのに」
車から降りたその人は、割れた植木鉢と車の傷を前に、言葉もなく立ち尽くしていた。顔からは血の気が引き、あの仁王立ちの勢いは跡形もない。しばらくして、青ざめた顔でのろのろと破片を拾い始めた。
その日以来、道に植木鉢が並ぶことも、車で通せんぼされることもなくなった。
その人は私たちと顔を合わせると、きまり悪そうに目を伏せ、そそくさと立ち去るようになった。長年の攻防は、その人自身の手で、あっけなく幕を下ろした。
※tendが独自に実施したアンケートで集めた、40代・女性読者様の体験談をもとに記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。














