「子どもが3人いるんだから近くに停めさせて」駐車場の優先を求めた保護者。だが、先生が返した一言で態度が一変
朝の送迎で、車の列が止まった
息子が保育園に通っていた頃の話です。
園には送迎用の駐車場が二か所ありました。ひとつは園舎のすぐ横、もうひとつは150メートルほど離れた場所です。
近い駐車場は台数が少ないため、朝の混雑時は入口に立つ先生の案内に従って、空いているほうへ順番に停める決まりになっていました。
ある朝、私が息子を乗せて園へ向かうと、入口の手前で車の列が止まっていました。
前を見ると、一台の車が入口付近に停まったまま動きません。
運転席の女性が窓を開け、誘導していた先生に何か訴えていました。
「どうしてうちが向こうなんですか?」
先生は離れた駐車場を示しながら、落ち着いた声で説明していました。
「こちらが満車ですので、今日は第二駐車場へお願いします」
すると女性は納得できない様子で言いました。
「でも、うちは子どもが3人いるんですよ。3人を連れて150メートルも歩くの、大変なんですけど」
車内を見ると、後部座席には園児くらいの子どもたちが乗っています。
確かに大変そうだとは思いました。
しかし、女性はさらに続けました。
「子どもが1人の家庭を向こうに案内すればいいじゃないですか。人数が多い家庭を近くに停めさせるほうが普通じゃないですか?」
後ろには送迎の車が何台も並んでいました。
私も息子を乗せたまま待っていましたが、列はなかなか動きません。
先生が変えなかったルール
先生は女性の話を遮らず、最後まで聞いていました。
そして一度うなずいてから、静かに答えました。
「お子さんを何人も連れての送迎が大変なのは分かります」
女性の表情が少し緩みました。
しかし、先生は続けました。
「ただ、近い駐車場を使えるご家庭を、お子さんの人数で決めることはしていないんです」
「皆さんそれぞれ事情がありますので、混雑する時間帯は空いている場所へ順番にご案内しています」
女性は不満そうに眉を寄せました。
「でも、3人ですよ?」
すると先生は声を荒らげることなく、もう一度言いました。
「大変だからこそ配慮できることは考えます。でも、ほかのご家庭の順番を後ろにすることはできません」
その言葉を聞いて、女性は黙りました。
少し間があったあと、「分かりました」と窓を閉め、ゆっくりと車を動かしました。
先生は第二駐車場へ向かう道を示し、女性の車を見送りました。
そしてすぐに私の車へ向き直りました。
「お待たせしました。こちらへどうぞ」
その一言で、止まっていた列が再び動き始めました。
数日後、第二駐車場から子どもたちと歩いてくるあの女性を見かけました。
一人の手を引き、もう一人にも声をかけながら歩く姿を見ると、毎朝の送迎が大変なのは伝わってきました。
それでも、その日は先生の案内に従って普通に門へ向かっていました。
家庭によって、大変さの中身は違います。
だからこそ、誰か一人の事情だけで順番を変えないという先生の対応が、今でも印象に残っています。
※tendが独自に実施したアンケートで集めた、30代・女性読者様の体験談をもとに記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。














