「洗濯物もたたんでおいたからね」留守中に家事をしてくれる義母。だが、ずっと言えなかった私の本音とは
きれいに畳まれていた洗濯物
保育園のお迎えを終えて帰宅した日のことです。部屋に入ると、朝取り込んだまま置いていた洗濯物が、きれいに畳まれていました。
夫の部屋着も、子どものタオルも、種類ごとにきちんと分けられています。
すぐに思い当たったのは、近くに住む義母でした。
義母には以前、急な用事や子どもの迎えをお願いする時のために、我が家の合鍵を一本預けていました。
その夜、義母から電話がありました。
「今日、近くまで行ったから寄ったの。洗濯物もたたんでおいたからね」
「ありがとうございます」
そう答えながらも、胸の奥には小さな引っかかりが残りました。
助かっているのは本当です。ただ、自分たちがいない間に家へ入られ、家の中のものを触られることには、どうしても慣れませんでした。
断る理由を言えないまま
義母に悪気がないことは分かっていました。
孫をかわいがってくれますし、私たちが忙しい時には「できることがあれば言ってね」と声をかけてくれます。
だからこそ、余計に言いづらかったのです。
それからも義母は時々、留守中に立ち寄っては、玄関に置いてあった荷物を片づけたり、洗濯物を畳んだりしてくれることがありました。
「今度、子どもを見ていてあげるから、二人で出かけてきたら?」
そう言われても、私はいつも同じように答えていました。
「ありがとうございます。でも、その時はこちらから連れて行きますね」
義母の家で預かってもらうのは平気でした。それでも、自分たちが不在の家で過ごしてもらうことには抵抗があったのです。
何度か同じ断り方をした頃、夫が気づきました。
「母さんに、うちで見てもらうの嫌なの?」
「嫌っていうわけじゃないんだけど……」
私は少し迷ってから、本音を話しました。
「留守の時に家の中を触られるのが、ちょっと苦手なの。洗濯物を畳んでもらうのも、ありがたいけど落ち着かなくて」
夫は少し考えてからうなずきました。
「そっか。それなら、俺から言うよ」
初めて伝えられた本音
次の週末、義母が遊びに来た時のことです。
帰り支度を始めた義母に、夫が玄関で声をかけました。
「母さん、いつもいろいろやってくれてありがとう。でも、俺たちがいない時は、急ぎの用事がない限り家に入らないでほしいんだ」
義母は少し驚いた顔をしました。
「あら。洗濯物とか、やらないほうがよかった?」
私はそこで、一歩前に出ました。
「助かっていたのは本当なんです。ただ、留守中に家の中を触られるのが、私、少し苦手で……。今まで言えなくてすみません」
義母はしばらく黙っていましたが、やがて小さくうなずきました。
「そうだったのね。よかれと思ってやっていたけど、気をつけるわ」
そして少し笑って続けました。
「じゃあ、孫を預かる時はうちに連れてきて。うちなら私も気兼ねなく世話できるから」
「はい。お願いします」
義母を見送って玄関のドアを閉めると、夫がこちらを見ました。
「ちゃんと言えたじゃん」
「うん。もっと早く言えばよかったかも」
翌日、和室には取り込んだ洗濯物がそのまま残っていました。
少し面倒だと思いながらも、自分の手で一枚ずつ畳んでいく時間が、なぜかいつもより落ち着いて感じられました。
※tendが独自に実施したアンケートで集めた、30代・女性読者様の体験談をもとに記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。














