「せっかくだし、1枚だけ撮ろうよ」大浴場で写真を撮ろうとするグループ。だが、スタッフが毅然と止めた瞬間
静かな朝の大浴場
旅館に泊まった翌朝、私は少し早起きをして大浴場へ向かいました。
まだ利用客は少なく、広い湯船には湯の流れる音だけが静かに響いています。
せっかく温泉旅館に来たのだから、朝のうちにゆっくり湯に浸かっておこう。
そんなことを考えながら過ごしていると、あとから数人の男性グループが入ってきました。
友人同士で旅行に来ているらしく、「昨日の夕食、よかったよな」などと楽しそうに話しています。
声は少し大きめでしたが、旅行中で気分が上がっているのだろうと思い、私はそれほど気にしていませんでした。
旅の記念に「1枚だけ」
ところがしばらくすると、そのうちの一人がスマートフォンを手にしていることに気づきました。
どうやら友人たちとの旅行の記念に、温泉でも写真を残しておきたかったようです。
「せっかくだし、1枚だけ撮ろうよ」
そう言いながら、男性は湯船にいる仲間へスマートフォンを向けました。
本人たちにしてみれば、自分たちだけを撮るつもりだったのでしょう。
しかし、大浴場には私を含めてほかの利用客もいます。カメラの向きによっては、知らないうちに写り込んでしまうかもしれません。
近くにいた男性がさりげなく背を向け、別の利用客も落ち着かない様子で場所を移していました。
私も、レンズがこちらへ向かないか気になってしまい、せっかくの温泉を楽しめなくなっていました。
スタッフが伝えた大浴場のルール
その後、一人の利用客が先に浴室を出ていきました。
しばらくすると、旅館のスタッフが入口から声をかけ、男性グループのもとへやってきました。
先ほど出ていった人が、脱衣所で事情を伝えてくれたのかもしれません。
スタッフは周囲に配慮しながら、落ち着いた声で説明しました。
「申し訳ございませんが、大浴場内でのスマートフォンの使用や撮影はご遠慮いただいております。ほかのお客様が写り込む可能性もございますので、ご協力をお願いいたします」
スマートフォンを持っていた男性は少し驚いた表情を見せ、「仲間だけ撮るつもりだったんですけど」と答えました。
するとスタッフは、「お気持ちは分かりますが、ほかのお客様もいらっしゃいますので」と丁寧に説明します。
男性もそれ以上言い返すことはなく、「すみません」と頭を下げ、スマートフォンをロッカーへしまいに戻りました。ほかの仲間たちも声の大きさを少し落とし、その後は静かに湯を楽しんでいました。
旅行先では、楽しい気分から普段より気が緩むこともあるのかもしれません。それでも、多くの人が裸で過ごす大浴場では、撮影するつもりがなくてもスマートフォンそのものを不安に感じる人もいます。
再び湯の音だけが聞こえるようになった浴室で、私もようやく肩の力を抜いて、朝の温泉を楽しむことができました。
※本記事は、tendが独自に実施したアンケートで寄せられた30代男性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています。
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。














