「どうして美容院って知ってるんですか?」いつも野菜をくれる同僚。翌朝の何気ない一言に固まった瞬間
帰りぎわに言われた、思いがけない一言
40代でパートに出るようになって4年。休憩室でよく話すのは、60代の女性だった。
家庭菜園をしていて、ときどき採れた野菜を持ってきてくれる。
「これ、今朝採ったの。よかったら持って帰って」
「こんなにいいんですか?ありがとうございます」
その日も、いつもと変わらないやり取りだった。
私は翌日の午後、休みを取っていた。もともとのシフトを変更してもらったもので、相談したのは店長だけ。休む理由までは伝えていなかった。
仕事を終えて更衣室を出ると、後ろからその人に声をかけられた。
「明日の午後休みは美容院でしょ?」
思わず足が止まった。
「え…美容院って、どうして知ってるんですか?」
予約を入れたのは、その日の朝だった。夫にもまだ話していない。
けれど、その人は私の戸惑いに気づいていないような調子で笑った。
「いいじゃない。きれいにしてきなさいよ」
私は曖昧に笑うことしかできなかった。
その夜、夫に話すと、最初は「誰かに話したんじゃない?」と言われた。
「話してないよ」
「じゃあ……たまたま当たったとか?」
「そうなのかな。でも、なんか引っかかるんだよね」
口に出してみても、答えは出なかった。
気にしすぎだと思おうとしたけれど
その人が嫌がらせをしてくるわけではない。
翌日も休憩室ではいつもどおりで、「昨日の野菜、食べた?」と笑っていた。
だから私も、偶然だったのだと思うことにした。
それでも以前のように、自分の予定を職場で気軽に話す気にはなれなかった。
午後から休むその日の朝、私はなんとなく、いつもとは反対側の空いている列に車を停めた。
駐車場から従業員用の裏口へ歩いていくと、ひさしの下にその人が立っていた。
私を見ると、手にしていた紙袋を軽く持ち上げる。
「おはよう。今日はそっちに停めたのね」
「……おはようございます」
駐車場を見ていれば分かることだ。それなのに、なぜかまた胸がざわついた。
結局、美容院のことをどうして知っていたのかは分からないままだった。
ただ、それまで何とも思わなかったその人の何気ない一言を、私は少し気にするようになった。
※本記事は、tendが独自に実施したアンケートで寄せられた40代女性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。














