「お金のことはもういいよね」別れ際、借りたお金をうやむやにしようとした彼女。だが、僕が開いた半年分の記録
少しずつ増えていった立て替え
彼女と付き合い始めて半年ほどたった頃から、会計のたびに立て替えを頼まれることが増えました。
ランチ代や映画のチケット代、彼女が欲しがった部屋着の代金などです。
「ごめん、今現金なくて。先に払ってもらっていい?」
「うん、分かった」
一回ごとの金額は数千円でした。大きな額ではなかったので、その場では僕も深く考えていませんでした。
ただ、あとで分からなくなるのが嫌で、帰りの電車では携帯電話のメモを開き、日付と金額、何に使ったのかを書き残していました。
月に2〜3回ほどのペースで、少しずつ記録が増えていきました。
ある日、そろそろ返してほしいと伝えると、彼女は少し驚いた顔をしました。
「え、そんなに借りてた?」
「うん。いちおう全部メモしてるよ」
すると彼女は笑いながら、
「細かいなあ。そんなに気にしなくてもいいじゃん」
と言って、話を変えてしまいました。
その後も外食の際に立て替えを頼まれることが何度かあり、僕も強く断れないまま払っていました。お金の話をするたびに気まずくなり、二人の間の空気も少しずつ変わっていきました。
そして、やがて別れ話をすることになったのです。
別れ際に見せた半年分の記録
最後の日、帰り道を並んで歩いていると、彼女がふと思い出したように言いました。
「そういえば、お金のことはもういいよね」
僕がすぐに返事をしないでいると、彼女はもう一度言いました。
「ね。もういいよね?今日で最後なんだし」
そのまま終わったことにしようとしているように、僕には聞こえました。
そこで僕は携帯電話を取り出し、これまでつけていたメモを開いて彼女に見せました。
そこには約半年分の日付と、ランチ代、映画のチケット代、部屋着の代金などが一行ずつ並んでいました。そして一番下には、合計3万円と書いてありました。
「これで3万円。返してもらってもいい?」
できるだけ感情的にならないよう、静かに伝えました。
彼女は黙って画面を見つめ、日付を上から確かめていきました。見覚えのある店の名前を見つけると、少し間を置いて言いました。
「……分かった。2回に分けてもいい?」
「うん。それでいいよ」
翌月と翌々月、彼女から約束どおり振り込みがありました。2回目の入金を確認した夜、僕はメモの最後に「返済済み」と書き足しました。
しばらくして、この出来事を友人に話したことがあります。
「別れ際に『お金のことはもういいよね』って2回言われたんだけど、記録を見せたら返してくれたよ」
すると友人は感心したようにうなずいたあと、目の前の伝票を見て笑いました。
「じゃあ、今日の分もメモするの?」
「するよ。割り勘で、ひとり3千円ね」
そう答えると、友人は笑いながらその場で財布を開きました。
※本記事は、tendが独自に実施したアンケートで寄せられた30代男性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。














