「管理会社に連絡したのってあなた?」上階からの水で洗濯物が濡れた。だが、直接苦情を言わなかった僕の選択
何度も濡れる洗濯物に、管理会社へ電話した
引っ越して間もないころ、早朝に干していた洗濯物が何度か濡れることがありました。
原因が分かったのは、ある朝のことです。
ベランダに出て見上げると、上の階で植木鉢に水をやっているらしく、縁からあふれた水がざばっと落ちてきました。
濡れたシャツを取り込みながら、僕は管理会社に電話をかけました。入居時に、住人同士で困ったことがあれば、まず管理会社へ相談してほしいと言われていたからです。
「上の階から水が落ちてきて、洗濯物が何度か濡れているんです」
事情を説明したあと、僕は付け加えました。
「責めたいわけではないので、できればやわらかく伝えてもらえますか」
担当者は「分かりました。お名前は出さずにお伝えしますね」と答えてくれました。
直接言いに行くことも考えましたが、まだ越してきたばかりです。
最初から気まずい関係になるのも避けたいと思い、その日は管理会社に任せました。
翌朝、エレベーターで聞かれたこと
翌朝、エレベーターに乗ると、一人の女性がこちらを見ました。
「下の階の方よね。もしかして、管理会社に連絡したのってあなた?」
どうやら、僕ではないかと見当をつけたようでした。
僕がうなずくと、女性は少し不満そうな表情を浮かべました。
「直接言ってくれればよかったのに」
一瞬迷いましたが、僕はできるだけ穏やかに答えました。
「入居するとき、住人同士のことはまず管理会社を通してくださいと言われていたんです」
女性は黙ってこちらを見ています。
「直接言うと、言い方ひとつでお互い気まずくなるかもしれないと思って。責めたかったわけじゃないんです」
すると女性の表情が少しやわらぎました。
「…そう。水は気をつけるわね」
それ以上、言い合いになることはありませんでした。
次の朝、ベランダに出ると、上から聞こえる水の音が前より静かになっていました。見上げると、植木鉢の下には受け皿が置かれていました。
数日後、管理会社から様子を確認する電話がありました。
「その後、水は大丈夫ですか?」
「はい。もう洗濯物は濡れていません」
ひと月ほどたったころ、またエレベーターで女性と一緒になりました。
今度は女性のほうから、「おはようございます」と声をかけてくれました。
僕も挨拶を返すと、女性は「受け皿を置いたら、土も流れなくなったの」と少し笑っていました。
その後、洗濯物が水で濡れることはありませんでした。直接言い合わず、間に管理会社を入れたことで、お互いに気まずさを引きずらずに済んだのだと思います。
※本記事は、tendが独自に実施したアンケートで寄せられた30代男性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。














