「お昼用意したよ」こどもの日に遊びに来た私たちを迎えた義母→食卓に並んだ大皿2枚への違和感
遠方の義母とお客様の距離感
私の義実家は遠方で、家族そろって帰省するのは年に1回あるかないか。
結婚してすぐの頃、義母にどう接したらいいか分からず、丁寧すぎるくらいの敬語で話し続けた。
気付けば15年。今でも私たちの会話は敬語のままで、訪問するたび私はお客様として迎えられる。
食事の支度も義母がすべてテキパキこなし、私はお皿を運ぶ程度。台所に立ち入った記憶もほとんどない。
(波風を立てないのが一番)
そう信じて、私はこの距離を保ってきた。
娘たちが幼稚園に上がる前のこどもの日、家族で義実家を訪ねた。義母は孫を見るなり、満面の笑みで迎えてくれた。
「お昼用意したよ」
義母がエプロンで手を拭きながら、嬉しそうに告げる。
こどもの日に義母が用意してくれたお昼ごはん。きっと孫のために腕によりをかけてくれたはず。お寿司、ちらし寿司、唐揚げ、ケーキ…勝手な想像が頭の中で膨らんでいった。
食卓に運ばれてきた大皿2枚の正体
娘たちと食卓に着いた瞬間、私の想像はすべて崩れ落ちた。
テーブルの中央に、大皿が2枚。
1枚は、輪切りにされた真っ赤なトマトが山盛り。
もう1枚は、葉に包まれた柏餅が積み重なるように盛り付けられている。
それ以外、何もない。
(おぉ……)
心の中で、声にならない声が漏れた。驚きと、込み上げてくる笑いと、説明のつかないモヤモヤが同時に押し寄せて、私はしばらく食卓を見つめたまま動けなかった。
娘たちも、輪切りトマトと柏餅を交互に見ながら不思議そうな顔をしている。
夫はと言えば、何ごともないかのようにトマトに箸を伸ばしている。子どもの頃からこの食卓に慣れているのか、まったく動じない。
義母はにこにこと、孫が食べるのを優しく見守っていた。喜ばせようと用意してくれたのは、間違いなく伝わる。
(これって、聞いていいんだろうか)
「お義母さん、お寿司は…」と喉まで出かかった言葉を、私は飲み込んだ。
15年敬語で過ごしてきた相手に、突然そんなことを聞ける度胸はなかった。
娘たちは戸惑いながらも、一番手前の柏餅にそっと手を伸ばした。義母は「いっぱい食べてね」と笑って、もう一切れトマトを取り分けてくれた。
トマトは甘くてみずみずしく、柏餅も丁寧に蒸されていて美味しい。それは事実。ただ、なぜこの2品だったのか。何年経った今も、私の中で答えは出ていない。
※tendが独自に実施したアンケートで集めた、40代・女性読者様の体験談をもとに記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。














