「緊張しなくていいよ」親戚15人を前に声が震えた私。だが、義父が続けた冗談に救われたワケ
玄関の向こうから聞こえる声
結婚して初めて、夫の親戚が集まる日に義実家を訪れたときのことです。
門の前には何台もの車が停まっていて、玄関の向こうからは大勢の話し声が聞こえていました。
「今日、何人くらいいるの?」
車を降りる前、私は夫に聞きました。
「たぶん15人くらい。親父の兄弟とか、その家族とか」
そう聞いた瞬間、急に緊張してきました。
夫は「みんな普通の人だから大丈夫」と笑っていましたが、私にとってはほとんどが初対面です。
玄関を開けると、ちょうど義父が廊下に出てきました。
「おお、来たか。中にみんないるよ」
義父が指した先の座敷から、また大きな笑い声が聞こえてきます。
私は思わず、「ちゃんと挨拶できるかな……」と小さくつぶやきました。
順番に回ってきた自己紹介
座敷に入ると、大人も子どもも合わせて十数人が座っていました。
中央の机にはお茶やお菓子が並び、すでに楽しそうに話が弾んでいます。
「堅苦しくしなくていいからね」
義母はそう言ってくれましたが、夫の伯父が「せっかくだから簡単に自己紹介しようか」と言い出しました。
一人ずつ名前や近況を話し始め、順番が少しずつ私に近づいてきます。
皆さん話し慣れていて、冗談を交えながら楽しそうに話しています。
それを聞けば聞くほど、私は何を言えばいいのか分からなくなっていきました。
そして、ついに私の番になりました。
立ち上がった瞬間、それまで考えていた言葉がほとんど飛んでしまいました。
「はじめまして。○○と申します。今日は……その……」
自分でも分かるほど声が震えます。
「皆さんにお会いできて……うれしいです。よろしくお願いします」
なんとかそこまで言って頭を下げましたが、顔を上げるのが恥ずかしくて仕方ありませんでした。
義父が続けたひと言
すると、少し離れたところに座っていた義父が口を開きました。
「そんなに緊張しなくていいよ」
私はほっとして顔を上げました。
ところが義父は、そのまま続けます。
「私だって、ここにいる人の名前を全部すぐ言えって言われたら怪しいから」
一瞬、座敷が静かになりました。
すると伯父がすぐに、
「お前は自分の兄弟くらい覚えとけよ」
と返しました。
その瞬間、座敷中から笑い声が上がりました。
「この人、本当に人の名前を覚えないのよ」
義母まで笑いながら言います。
義父は少し困った顔をしながら、
「いや、顔は分かるんだよ。名前がちょっと出てこないだけで」
と弁解していました。
そのやり取りを見ているうちに、私も思わず笑ってしまいました。
張りつめていた気持ちが、そこでやっと少しほどけた気がします。
すると隣に座っていた伯母が、
「これ食べる?緊張するとお腹すくでしょう」
と菓子皿をこちらへ寄せてくれました。
そこからは少しずつ会話にも入れるようになり、帰るころには、最初の緊張が嘘のようでした。
帰りの車で夫にその話をすると、夫は笑いながら言いました。
「親父、たぶん励ましたつもりだったんだと思う」
少し不器用な義父のひと言でしたが、あの日の私には、それが何よりありがたく感じられました。
※tendが独自に実施したアンケートで集めた、40代・女性読者様の体験談をもとに記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。














