「これ、けっこう参考になるよ」善意のつもりで持ち込む男性。だが、職員が困り続けていた理由とは
毎月やってくる常連の男性
私が勤めている自治体の窓口では、月に一度、住民向けの健康相談を行っています。
そこへ毎月のように顔を出す、60代後半くらいの男性がいました。
健康にとても関心がある方で、新聞や雑誌で見つけた健康法や食事の記事を集めるのが趣味なのだそうです。
「これ、けっこう参考になるよ」
そう言って楽しそうに話してくれる姿を見ると、悪気がないことはよく分かりました
。自分が役に立ったと思った情報を、私たちにも教えてあげたいという気持ちだったのでしょう。
最初のころは、新聞の切り抜きを数枚見せてもらう程度だったため、私たちも「ありがとうございます」と受け取っていました。
少しずつ増えていった資料
ところが、回数を重ねるうちに持ってくる資料の量が増えていきました。
数枚だった切り抜きは、いつしかクリアファイルいっぱいになり、さらに分厚いファイルへと変わっていったのです。
男性はそれを机の端に置くと、決まってこう言いました。
「これ、みんなで読んでおいて。来月また取りに来るから」
相談会の対応や通常業務もあるため、職員全員が資料に目を通す時間はありません。
それでも、最初に何度か受け取ってしまった手前、急に断るのも申し訳ないという空気がありました。
さらに困ったのは、翌月になると男性が感想を求めてくることでした。
「先月のあの記事、読んだ?どうだった?」
ときには職員を名指しして聞いてくることもあります。
読んでいないのに適当な感想を言うわけにもいかず、かといって毎回すべて読むこともできません。
職員のあいだでは、次第に「あの資料、どうしようか」という話が出るようになりました。
善意だからこそ言いづらかった
男性が職員を困らせようとしているわけではありません。
むしろ「役立つ情報を教えてあげたい」という親切心からの行動でした。
だからこそ、こちらも強く断りにくかったのです。
しかし、このまま受け取り続ければ、男性も「毎回読んでもらえるもの」と思ってしまいます。
そこで職員同士で話し合い、次に来られた際、担当者から丁寧に伝えることにしました。
「お気持ちはありがたいのですが、業務の都合で、個人的な資料をお預かりして全員で読むことは難しいんです」
男性は少し意外そうな顔をしていましたが、「そうなの」と言って、その日は資料を持ち帰りました。
その後も健康相談には来られていますが、以前のように大量のファイルを置いていくことはなくなりました。
善意から始まったことでも、相手にとっては負担になってしまうことがあります。
早い段階で無理のない線引きをすることも、お互いに気持ちよく付き合っていくためには必要なのだと感じた出来事でした。
※本記事は、tendが独自に実施したアンケートで寄せられた50代女性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています。
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。














