「自分で数えるから触らないで」レジ前で小銭を一枚ずつ並べる常連客。だが、見ていた店員が感じた本音とは
会計金額が出ると、小銭入れを開く常連客
夕方のスーパーは、仕事帰りのお客さんや夕食の買い物をする人で、レジに列ができる時間帯です。
その日も私は、途切れることなく商品をスキャンしていました。
列の先頭までやって来たのは、何度も見かけている年配の女性でした。買い物は数点だけで、会計自体はすぐに終わるはずでした。
ところが、金額を伝えると、その女性は小さな小銭入れをゆっくり開きました。
「ちょっと待ってな。細かいので払うから」
そう言って、手のひらに硬貨を何枚も出し、一枚ずつ確かめるように数え始めます。
十円玉を置き、百円玉を置き、また小銭入れの中をのぞく。そのたびに手が止まりました。
後ろには、すでに数人のお客さんが並んでいます。
私は少し迷った末、なるべく急かさないように声をかけました。
「よろしければ、一緒に数えましょうか」
すると女性は、すぐに首を横に振りました。
「いいの。自分で数えるから触らないで」
強い口調ではありませんでしたが、手伝ってほしくないという意思ははっきり伝わってきました。
急かすことも、手を出すこともできなくて
それ以上は何も言えず、私はその場で待つことにしました。
後ろのお客さんが時計を確認したり、別のレジを見たりしているのが目に入ります。
「お待たせして申し訳ありません」
私は列に向かって頭を下げました。
女性は周囲を気にする様子もなく、硬貨を一枚ずつ数えています。
やがて必要な金額がそろうと、女性は硬貨をレジ台に置きました。
「はい、これでちょうど」
確かに金額はぴったりでした。
「ありがとうございます」
会計を終え、女性が店を出ていくと、止まっていた列がようやく動き始めました。
それからも、その女性は何度か私のレジに来ました。
毎回、小銭を自分で数え、こちらが手を貸そうとすると断ります。
もちろん、自分のお金を自分で確認しながら支払いたい気持ちは分かります。
だからといって、こちらから強く急かすわけにもいきません。
ただ、混雑している時間帯に列が伸びていくのを見るたび、私はどう対応するのが一番いいのだろうと悩んでいました。
お客さんのペースを尊重したい気持ちと、後ろで待つ人をなるべく待たせたくない気持ち。
どちらも間違っているとは思えないからこそ、今でもその女性が小銭入れを開くと、私は少しだけ身構えてしまいます。
※tendが独自に実施したアンケートで集めた、50代・女性読者様の体験談をもとに記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。














