「バイクは必要経費、8万とは別だろ」父の入院保証金を1年返さない兄、退院書類で分かったお金の行き先
新しいバイクを買った兄
母が書類を整理しながら、兄が新しいバイクを買ったと話します
父が退院して一年がたった日曜日、三十代の私は実家で、母と一緒に入院の書類を整理していました。
母は、もう捨ててもいいかしらね、と言いました。
病院のことは兄に任せきりだったので、父宛てに届いた封筒は、母が開けないまま束にしていました。
「お兄ちゃん、新しいバイク買ったって」
値段は二十万円くらいだそうです。
一年前、父の入院の保証金の八万円を、兄に頼まれて兄の口座へ振り込んだのは私でした。
病院への手続きは、兄の名前でされています。
「来月には必ず返すから」と言われたのに、尋ねるたびに「今ちょっと厳しくて」と言われ続けています。
母は、保証金は兄が出したのだと思っています。
兄がヘルメットを抱えて来て、私は八万円を返してと言います
母がお茶をいれに台所へ立ったとき、四十六歳の兄が、新しいヘルメットを抱えて入ってきました。兄は私を見て、にやりと笑いました。
「新しいバイク、見に来いよ!」
私は、声を落として言いました。
「バイクより先に、8万円返して」
兄は小声でバイクは必要経費だと言い、母は兄に感謝します
兄は、ふんと鼻で笑って、小声で言い放ちました。
「バイクは必要経費、8万とは別だろ」
そこへ、母がお茶を運んできて、うれしそうに言いました。
「保証金を出してくれて助かったわ」
兄は「長男だからな」と、得意そうに胸を張りました。
私が本当のことを言えば、母は自分を責めてしまいます。私は口を閉じるしかありませんでした。
ただ、封筒の束から一通を開けて、「精算書」という紙を見つけ、黙って折りたたみました。
母の前でついた嘘
私は兄に、保証金は退院のときに戻るのかとさりげなく尋ねます
私は、お茶を一口飲んで、さりげなく兄に尋ねました。
「保証金って、退院したら戻るよね?」
兄は、あきれたように笑いました。
「戻るわけないだろ。今、厳しいんだよ」
母の前で、兄が嘘をつきました。
私は返金のお知らせと振込履歴を並べ、兄の口座へ戻ったと告げます
私は、折りたたんだ紙を、テーブルに広げました。病院からの、返金のお知らせです。保証金を払い込んだ兄の口座へ、退院の翌月に八万円が返金されていました。その横に、振込履歴の画面も並べました。父の入院の日付で、私が兄の口座へ八万円を送った記録です。
「翌月、お兄ちゃんの口座に戻ってるよ」
母が、紙をのぞき込みました。
「保証金は、この子が出したの?」
兄は、顔をこわばらせました。
「…なんで、その紙がここに」
兄はうなだれてキーを置き、私はそのキーを預かります
私は、静かに言いました。
「来月には返すって、本当だったね」
兄は、何も言い返せません。私は、手を差し出しました。
「8万円が戻るまで、キーは預かるね」
母が「お兄ちゃんが出したって、言ってたわよね」と兄を見つめました。兄は、観念したようにバイクのキーをテーブルに置きました。そして、新しいバイクを置いたまま、ヘルメットだけを抱えて、歩いて帰っていきました。その夜、八万円が私の口座に振り込まれました。
※本記事は、tendが独自に実施したアンケートで寄せられた30代女性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。














