「いつになったら入れるんだよ」休日のとんかつ店で怒鳴る男性客。だが、店員に名前を確認されて黙り込んだ理由
後から来た客が先に案内される理由
休日の昼、私はとんかつ店へ食事に出かけました。
ちょうど混み合う時間帯で、入口の前には順番を待つ人たちが集まっていました。
入口の横には小さな台があり、順番待ちの記入用紙とペンが置かれています。
私も空いている欄に名前を書き、入口のそばで待つことにしました。
そこには、私が来る前から待っている中年の男性がいました。腕を組んだまま、じっと店の入口を見つめています。
しばらくすると、店員が名前を呼び、客を店内へ案内していきました。
ところが、私より後から来た客が先に案内されるのを見て、男性が不満そうにつぶやきました。
「なんであっちが先なんだよ…」
最初は小さな声でしたが、別の客が呼ばれると、男性は舌打ちをして入口をにらみました。
自分のほうが先に来ているのに、後から来た人ばかり案内される。そのことに腹を立てているようでした。
そこへ、エプロン姿の若い女性店員が入口から顔を出しました。
すると男性は店員に詰め寄り、突然声を荒らげたのです。
「ちょっと!いつになったら入れるんだよ。ずっと待ってるんだけど!」
「申し訳ございません。順番にご案内しているのですが……」
「だから、あとどれくらい待つんだって聞いてるんだよ! 後から来た客がどんどん入ってるじゃないか!」
店員は困った表情を浮かべました。周囲の客も気まずそうに視線をそらしています。
私も、せっかくの食事なのに嫌な空気になってしまったと感じていました。
店員の質問に黙り込んだ男性
そのとき、店員がふと入口の横にある台へ目を向けました。
記入用紙を手に取り、書かれた名前を確認してから、男性に尋ねたのです。
「恐れ入りますが、お名前のご記入はお済みでしょうか」
その一言に、男性の動きがぴたりと止まりました。
「……え? 名前?」
「はい。こちらの用紙にご記入いただいた方から、順にお呼びしております」
店員が用紙を示すと、男性は目を丸くしました。
「……書くものなのか、これは」
どうやら男性は、順番待ちの用紙があることに気づかず、入口の前で待っていれば呼ばれると思っていたようです。
「はい。お手数ですが、お名前をお願いできますか」
店員は責めることもなく、穏やかに伝えました。
男性は何か言いかけましたが、結局、何も言い返しませんでした。
周囲の客も何人か男性のほうを見ています。先ほどまで大声を出していた男性は、気まずそうに目を伏せました。
そして黙ってペンを手に取ると、用紙のいちばん下に自分の名前を書き込んだのです。
その直後、店員が私の名前を呼びました。
「お待たせいたしました。中へどうぞ」
「ありがとうございます」
私は店員に軽く会釈し、まだ台のそばに立っている男性の横を通って、店内へ入りました。
あれほど怒っていた男性が、最後は何も言わずに名前を書いていた姿が印象に残っています。
ほんの少し周りを確認していれば、あんなに怒らずに済んだのかもしれません。
※本記事は、tendが独自に実施したアンケートで寄せられた30代男性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。














