「助けたかったけど、レジが混んでてさ」とクレームから逃げる先輩。私が笑顔で向き直った日、先輩が迎えた末路
怒ったお客様の対応のあと、声をかけてきた先輩
先輩は、お客様の対応を終えた私に調子よく声をかけました
私は30代で、接客の仕事をしています。同じ売り場には、いつも明るく、調子よく話す先輩がいます。
私は、困っている後輩を見かけたら、できるだけ助けに入るようにしています。ところが、この先輩は違いました。
お客様に強く叱られる場面になると、先輩はいつの間にか姿を消してしまうのです。私や後輩が頭を下げ続けているあいだ、レジにも売り場にも先輩の姿はありません。
しかも、レジの列はそれほど混んでいないのです。
その日も、怒ったお客様への対応を一人で終え、バックヤードに戻ったところでした。
すると、先輩がにこにこと声をかけてきました。
「助けたかったけど、レジが混んでてさ。」
しかし、これまで先輩が助けに来てくれたことは、一度もありませんでした。
先輩はまた言い訳をして、私は黙って口を結びました
先輩は私に笑いかけながら、さらに続けました。
「あのレジ、本当に混んでたんだよ。」
近くにいた同僚は、段ボール箱の整理を続けたまま、顔を上げません。
これまでも何度となく同じような言い訳を聞かされてきました。言い返せば職場の空気が悪くなりそうで、私はいつも黙ってやり過ごしていました。
その日も、長時間の接客で疲れ切っていた私は、口を結んだまま何も言えませんでした。
「次は、ちゃんと助けるからさ。」
何度も同じことを言われてきた私には、もうその言葉を信じられませんでした。
私が先輩のほうを向いた場面
私は笑顔で、先輩の案内が原因だったと同僚の前で伝えました
しかし、この日ばかりは黙っているつもりはありませんでした。
なぜなら、お客様が怒っていた原因は、先輩自身の案内ミスだったからです。
お客様は強い口調で叱りながらも、昼前に受けた案内について順を追って説明してくれました。
さらに、お客様が持っていた控えの担当欄には、先輩の名前がありました。
受け取りの日にちを間違えて伝えたのは、ほかでもない、この先輩だったのです。
お客様には、案内した本人から改めてお詫びの電話を入れると伝えてあり、連絡先も私が書き留めていました。
私は先輩のほうを向き、近くの同僚にも聞こえるように、にこやかに言いました。
「原因は、先輩の案内ミスです。」
「お詫びの電話を、お願いします。」
そう言って机の上の電話のそばに手を置くと、それまで作業をしていた同僚も顔を上げ、先輩に視線を向けました。
先輩はうわずった声で、お客様に何度も謝りました
先輩は、それまでの笑顔をこわばらせました。
『えっ……俺が電話するの?』と声を上げましたが、同僚もこちらを見ています。いつものように言い訳をして済ませるのは、難しそうでした。
先輩はしぶしぶ受話器を取り、私が書き留めたメモを見ながら番号を押しました。電話がつながると、両手で受話器を握りしめ、深く頭を下げました。
「大変申し訳ございません!」
うわずった声が、バックヤードに響きました。電話の向こうでお客様が話すたび、先輩は受話器を握り直し、何度も頭を下げています。
私はその様子を横目に、紙コップのコーヒーを手にしていました。
いつもなら私たちに対応を任せてしまう先輩が、今日は自分で謝罪しています。
手にしたコーヒーの温かさが、いつも以上に心地よく感じられました。先輩の電話は、まだ終わりそうにありません。
※本記事は、tendが独自に実施したアンケートで寄せられた30代女性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。














