「私が徹夜で作りました」1ヶ月かけた部下の資料を平気で奪った上司。だが、私が資料に仕掛けた罠で状況が一変
毎回「最終確認」で資料を回収する上司
チームの直属の上司は、部下が作ったものを「最終確認」という名目で回収し、部長には自分の成果として提出していた。
社内ではそういう人だと知られていたが、証拠を掴んだ人はいなかった。
私が1か月かけて完成させたプレゼン資料も、提出前日に回収された。
翌日、会議室で上司が部長に向かって告げた。
「私が徹夜で作りました」
横に座っていたチームの先輩がわずかに眉を動かした。
私は何も言えなかった。口を開けば感情が先に出てしまいそうで、唇を結んだままやり過ごした。
1か月の間、夜遅くまで残ってデータを集め、構成を組み直し、何度も差し替えてきたファイルだった。
その作業の重さを誰よりも知っているのは自分だけだという思いが、胸の中で行き場をなくしていた。
帰宅後、次の資料には細工をしようと決めた。各スライドの隅に、印刷では見えない薄さのグレーで自分の名前と日付を埋め込んだ。
データを編集モードで開けば確認できる、作成者の痕跡だった。同じ手口を繰り返されたら、今度こそ証拠が残るようにしておきたかった。
部長が気づいた余白の違和感
数週間後、部長がその資料をパソコンで精査していたとき、スライドに不自然な余白があることに気づいた。
編集モードで確認すると、グレーの小さな文字列が浮かび上がった。
部長は翌日の会議で上司を前に資料を開き、静かに問いかけた。
「これ、彼女の名前が入ってるけど」
上司は数秒黙り込んだあと、しどろもどろに言い訳を重ねたが、部長はすでに過去の資料の確認を指示していた。
調査が進むにつれ、長期にわたる横取りの実態が明らかになっていった。
上司は別部署に異動となり、チームから静かに姿を消した。
自分の努力がきちんと記録に残っていたこと、それが最後に正しく機能したことに、じわじわと安堵が広がった。
あの隠し文字を仕込むかどうか、当時の私はかなり迷った。
やり過ぎではないか、もっと別のやり方があるのではないかと何度も自問した。でも、何もしないままだったら、ずっと同じことが続いていただろうという確信もあった。
結局、いちばん正攻法だったのは「自分の名前を残す」ことだった。誰かを陥れる工作ではなく、当たり前の事実を記録しただけのことが、結果として状況をきれいに動かしてくれた。それだけのことで十分だったのだと、後になって気づいた。
あの会議室で部長の声が響いた瞬間の静けさは、これから先もずっと忘れないと思う。
※tendが独自に実施したアンケートで集めた、30代・女性読者様の体験談をもとに記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。














