「マジ使えねえな!」と職場で怒鳴ってばかりの先輩。だが、そんな先輩が萎縮して職場にいたワケ
いつも誰かに怒鳴っていた先輩
職場には、感情のまま大声を出す先輩がいた。
入社年次が下の者や、立場の弱い相手には特に容赦なく、ちょっとした失敗でも大声で叱りつける。
周囲は慣れたふうを装いながら、実際には全員が疲弊していた。
「マジ使えねえな!」と怒鳴られた後の空気の重さは、その日一日引きずるほどだった。
上の立場の人間に注意されることは少なく、職場内のパワーバランスが先輩を守っているようにも見えた。
出社するたびに先輩の機嫌を確認するようになった。
朝から声が荒ければ、その日は全員が小さくなって仕事をする。
誰かが叱られている声を聞きながら、次は自分かもしれないと肩をすくめることも一度ではなかった。それがいつの間にか、この職場の「普通」になっていた。
そんな日々が続いていたある日、先輩が外出先で車の接触事故を起こした。
怒鳴られた先輩の沈黙
事故の相手は、近くの会社に勤める人物で、車に傷をつけられたことに激怒していたらしい。
相手は一歩も引かず、場所も時間も構わずに大声で先輩を責め立て続けたと後日聞いた。
「どう責任とるんだよ!」
先輩は、顔から血の気が引いたまま動けなかったという。
いつもの大声はどこへいったのか、黙ってうつむいているだけだった。
謝罪の言葉を繰り返すだけで、反論も言い訳も出てこなかったと聞いた。
翌日から先輩は明らかに大人しくなった。口を開いても怒声ではなく、普通のトーンで話すようになった。
それが数日続いた。職場に流れる空気が、少しだけ軽くなった気がした。
職場全体に、言葉にならない安堵が広がった。
人が変わったようだとまでは言えない。ただ、自分がいつも他者に向けてきたものを一度でも受け取ると、少しは変わるものなのかもしれないと思った。
顛末を教えてくれた同僚の話を聞きながら、こちらも思わず笑ってしまった。
報いを受けた、とまでは言いたくない。でも正直なところ、長い間胸に溜まっていたものが、少しだけ抜けた気がした。
その後しばらく経つと、先輩の口調は以前に近い状態に戻っていった。人はそう簡単には変わらない。それでも、強者の前で黙り込んだあの姿を知っている者は、以前とは少し違う目線であの声を聞くようになっていた。
あの怒鳴り声は「力」から来るものではなかったのだと、はっきりわかってしまった。そう気づいてからは、胸の奥に残っていた重苦しさが少しだけ軽くなった気がした。
※tendが独自に実施したアンケートで集めた、40代・男性読者様の体験談をもとに記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。














