後輩「あいつ、正直苦手で関わりたくないんです」→退職後に届いた先輩の結婚相手の名前で凍った瞬間
見ないふりをしていた距離感
昔の職場での話だ。女性の先輩は愛嬌があって誰からも好かれるタイプで、自分から話しかけ、自然に場を和ませることができた。男性の後輩は頭が切れる一方、周囲を少し見下したような態度が気になる人物だった。頭の回転が速い分、相手の反応を読んでいるような動き方をした。後輩には遠方に交際相手がいると聞いていた。
ふたりの間には、職場の空気の中でも浮いて見えるほどの親密さがあった。話すときの距離感、自然な身体の触れ合い。職場のつきあいの範囲を超えているように感じることが何度もあった。先輩がオープンな性格だから、そういうものなのかとも思いながら、見て見ぬふりで過ごしていた。
「あの二人、怪しくなかった?」
退職後に元同僚からそう聞かれるまで、私はずっとそれを口に出さずにいた。あの頃、同じことを感じていた人間が複数いたのだと知ったのは、その会話が初めてだった。
後輩にはもうひとり、同期の男性がいた。穏やかで誠実なタイプだったが、後輩は彼のことを折り合いが悪いほど見下していた。二人が同じ空間にいると微妙な空気が流れた。そのすれ違いは職場全体が知っていた。休憩室での立ち話で、後輩がぽつりとこぼしたことがある。
「あいつ、正直苦手で関わりたくないんです」
笑い飛ばすような口調だったが、目は笑っていなかった。私はその場で聞き流すしかなかった。
結婚相手の名前を聞いた瞬間
私が退職してしばらく経ってから、先輩が結婚したという知らせが届いた。職場の誰も交際を知らなかったため、驚きは大きかった。相手は後輩ではなく、後輩の同期だった。あの、見下されていた穏やかな男性と。青天の霹靂、という表現がぴったりだった。
後輩の方はちょうどその頃、遠方の交際相手と婚約破棄になり、別れたそうだ。
過去の光景が別の順で並び直した。先輩と後輩の親密な空気を、後輩の同期は日常的に目の前で見せられていたことになる。何も知らないまま巻き込まれていたのか、それとも何かを感じながらも耐えていたのか。今となっては確かめる術もない。
全てが終わった後から眺めると、誰も傷つけるような言葉を使わずに場を動かし続けていたあの先輩の在り方に、背筋が冷えた。
※tendが独自に実施したアンケートで集めた、30代・女性読者様の体験談をもとに記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。














