「枠は2つ、候補は3人だ」部長から告げられた昇格レース→アピールしなかった同期と後輩に決まった本当の理由
部長から告げられた候補3人
昇格までの道のりが長い部署に、もう何年も腰を据えていた。
期初の朝、直属の部長から呼ばれて、応接室の白いテーブルに向かい合ったときのこと。
「枠は2つ、候補は3人だ」
部長は手元のメモを広げて、淡々と告げた。
私と、入社年次が同じ同期、そして半年前に他部署から配属された後輩。
3人で2枠を争う構図になったと続けて説明する。
「君は積極的にアピールしてくれてるから、期待してるよ」
その一言を支えに、その日から週次の業務報告を欠かさず提出した。
現場で気づいた改善案も月に何度も持ち込み、会議では真っ先に手を挙げた。残業して翌日の段取りを整えてから帰る夜も、当たり前になっていた。
同期は無口で、頼まれた仕事を黙々とこなすタイプだ。
後輩は外回りばかりで、フロアにいる時間が短く、改善提案の類はほとんど出してこない。アピール量で差をつけられるはず、と信じていた。
部長の机に書類を置きに行くたび、「ありがとう、目を通しておくよ」と短く返ってくる。
その軽い受け答えが、確かな手応えに思えた。
通った2人と通らなかった私
昇格発表の朝、会議室の長机には部長と3人が並んだ。
読み上げられたのは、同期と後輩の2人だけ。私の名前は、紙の最後まで現れなかった。
「お疲れさん。引き続き頼むよ」
部長は淡々と紙を畳んだ。
表情には、何のためらいもない。
隣に座る同期と後輩も、まるで結果を知っていたかのように驚いていなかった。
後日、本社にいる先輩がランチの席で教えてくれた。
同期は派手なアピールをしないが、長年の積み重ねで上司受けがよく、評価がもともと高かった。
後輩は元の部署から「なぜまだ昇格させないのか」と圧力が来ていて、今期は通すことが事前に決まっていたのだという。
(じゃあ僕の毎日の報告は、なんだったんだ)
胸の奥でつぶやきが消えた。怒鳴り込みたい相手もいないし、抗議できる場所もない。
決まっていた答えに向かって、ただ報告書を提出させられていたのだと悟った瞬間、肩から力が抜けていく感覚があった。
努力で席を取りに行けると思っていたのに、席はもう誰かのために用意されていた。それでも辞めるわけにはいかず、報告の頻度を半分に落として、また同じ机に座り続ける。
何かが胸に残ったまま、今日も惰性で改善案のメモを取っている。報告書を出さなくなっても、誰の機嫌が変わるわけでもない。そのこと自体が、いちばん答えだった気がしている。
※tendが独自に実施したアンケートで集めた、30代・男性読者様の体験談をもとに記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。














