tend Editorial Team

2026.05.21(Thu)

「私が指導して作らせました」と言い張る先輩。あえて資料を空白で提出した結果

「私が指導して作らせました」と言い張る先輩。あえて資料を空白で提出した結果

「指導した」と言い張れる立場を利用する先輩

10歳上の先輩は、面倒な作業を後輩に振ることに長けていた。

「これお願いね、私、今バタバタしてるから」という言葉が合図だ。

スマホを手にしたまま定時に帰り、翌朝はすっきりした顔で現れる。残業した形跡を一切見せないまま、朝礼で場を仕切る姿が毎度腹立たしかった。

上司の前では話が変わる。私が深夜まで作り込んだ資料を、さらっとこう言い添える。

「私が指導して作らせました」

褒められるのは先輩で、私は「よく育ってる後輩」として処理される。

それが何度も続いた。口を挟む隙もなく、評価だけが先輩のもとへ流れていった。

部長に提出する重要なプレゼン資料でも、先輩は同じことをした。

「たたき台を作って」と言い、完成品を自分名義で出すつもりだったのだろう。いつもと同じように、私は黙って作業を始めた。ただ今回は、一つだけ違う準備をした。

仕掛けは、小さな空欄だった

資料はほぼ完璧に仕上げた。ただし、重要な計算が必要な箇所を数か所だけ、意図的に空欄にした。

一見するとわからない。ページをめくらないと気づかない位置に置いた。

先輩に渡す前に、一言添えた。

「最終確認は先輩にお願いします」

先輩は「うん、わかった」と言い、ファイルをちらりと見ただけで受け取った。

中身を確認することもなく、翌日そのまま部長へ提出した。

会議が始まり、部長が数ページ目で止まった。

「この数字、空欄になってるね」

先輩の顔から血の気が引いた。言葉が続かない。そこで私が口を開いた。

「先輩に最終確認をお願いしていた箇所です。補足資料を手元に持っていますので、そちらをご覧ください」

数字をすべて補完した修正版を部長の前に差し出した。

「ありがとう。君がいなかったら困るところだった」

先輩は一言も返せないまま、視線を手元に落とした。

会議が終わっても、先輩は私のほうを見なかった。

翌日から、私のデスクに先輩の仕事が積まれることはなくなった。廊下ですれ違っても、先輩は会釈だけして通り過ぎる。以前のような「これお願いね」という気軽な声かけは、ぴたりと消えた。

何か特別なことをしたわけではない。ただ、責任の所在を正しく伝えただけだ。それだけで、長く続いた不均衡が静かに崩れた。会議室に残った沈黙が、今でも胸のどこかに刻まれている。

※tendが独自に実施したアンケートで集めた、30代・男性読者様の体験談をもとに記事化しています

※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。

RANKING

OTHER ARTICLES

NEW 2026.09.10(Thu)

「全部、返してくれたの?」10万円を貸した彼から毎月届いた封筒。母が最後の一枚を見て黙った理由
tend Editorial Team

NEW 2026.09.10(Thu)

「今日は判を押しません」実家の土地と畑を姉が相続すると初めて聞いた母。200万円を前にした決断
tend Editorial Team

NEW 2026.09.10(Thu)

「その荷物、膝の上に置けますか?」混雑した電車で座席をふさいでいた男性。だが、高齢女性を見た乗客の一言
tend Editorial Team

RECOMMEND

2026.08.21(Fri)

「義理の両親の施設を、ひとりで探した!」親の介護に直面した40代女性、いちばん詰まった気持ちのケアとは
tend管理者

2025.09.03(Wed)

え、まさかの発想!?叫ぶニワトリを吊した自称「リフト警報器」がSNSで大反響!コメント欄では大喜利状態に
tend Editorial Team

2026.01.25(Sun)

「遊びすぎたツケ」「努力の定義が甘い」YouTuberひまひまの大学受験失敗、号泣動画に批判と疑問の声が噴出
tend Editorial Team