「頼れるのはお前だけだ」昇給ゼロ8年の上司に言われ続けた私→退職後の缶ビールが別物の味だった理由
昇給ゼロ、増えるのは面倒な仕事だけだった
8年、同じ会社に勤めた。最初の数年は「いつか認められる」という気持ちで走れた。でも5年目を過ぎた頃から、何かがおかしいと感じ始めた。
昇給は一度もなかった。それどころか、社内で面倒とされる案件は決まって私に回ってきた。難しいと言われる交渉、他の人が断った仕事、引き継ぎのない業務。上司はそのたびにこう言った。
「頼れるのはお前だけだ」
断れなかった。
周りの同僚は毎月のように会社を去った。残業が続き、正当な評価もなく、限界を迎えた人から順番に辞めていく。送別会のたびに人数が減り、仕事だけが増えていく。誰もその構造に疑問を呈さなかったし、私もそのひとりだった。
「ここを辞めたら自分には何も残らない」という恐怖があった。長くいるほどその気持ちは強くなり、足が動かなくなった。我慢することが社会人としての正しい姿勢だと、どこかで信じていた。
退職後の缶ビール一本が教えてくれたこと
転機は先に辞めた同期の話だった。転職してチームリーダーになり、給与も上がり、仕事が充実していると聞いた。
「報われない場所で頑張ることが美徳だと思ってた」
その言葉が、ずっと頭に引っかかった。自分も同じだったのではないか。我慢を続けることを、頑張りだと思い込んでいたのではないか。
翌週、退職届を出した。上司からは「もう少し考えたら」と言われたが、迷いはなかった。辞める理由は一つに絞れなかったが、続ける理由がひとつも残っていなかった。
退職した夕方、帰り道のスーパーで缶ビールを買った。家でプルタブを開けて飲んだ瞬間、思わず声が出た。「うまい」と。同じ銘柄のはずなのに、まるで別の飲み物みたいだった。
8年間、我慢し続けることを美徳だと信じていた。でも本当は、報われない環境に居続けることを正当化するための思い込みだったのだと気づいた。退職して缶ビール一本、それが教えてくれた答えだった。
翌朝、目覚めたときの感覚も別物だった。出勤しなくていい朝の軽さ。あの会社に行かない朝が、こんなに穏やかなものだったのかと驚いた。
これからどう動いていくかは、まだ少しずつ決めていく段階だ。それでも、報われない場所にしがみつかないという軸だけは、もう自分の中で動かないと思っている。
※tendが独自に実施したアンケートで集めた、40代・男性読者様の体験談をもとに記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。














