「力仕事は男の出番だからな」毎年決まっていた大掃除の分担。だが、初めて違和感を口にした結果
紙に書かれていた、いつもの分担
妻の実家では、年末になると親戚も集まって大掃除をするのが恒例です。
朝食が終わるころ、義母が一枚の紙を座卓に置きました。そこには、その日に誰がどこを掃除するのかが書かれています。
台所、食器棚、障子には女性陣の名前。庭、物置、家具の移動には男性陣の名前。
私も、妻の兄や従兄と一緒に「家具・物置」と書かれていました。
「冷蔵庫も動かしたいから、そこは男の人たちでお願いね」
義母がそう言うと、義父も「力仕事は男の出番だからな」と笑います。
誰も特に反応しませんでした。妻に聞くと、昔からずっと同じ分け方なのだそうです。
できないわけではないけれど
午前中は庭の片づけをしました。枝をまとめ、物置から古い箱を運び出します。
昼を過ぎると、今度は台所の冷蔵庫を動かすことになりました。
「これ、三人で少し前に出そう」
義兄に呼ばれ、私は冷蔵庫の横に立ちました。
そのとき、少し迷ってから聞いてみました。
「これって毎年、重いものは全部男性がやるんですか?」
義父は不思議そうな顔をしました。
「そりゃそうだろ。男のほうが力あるんだから」
確かに、冷蔵庫のような重い物を力のある人が担当すること自体はおかしくありません。
ただ、紙を見たときから引っかかっていたのは、重さではありませんでした。
女性だから台所。男性だから力仕事。
一人ひとりが得意かどうかを聞く前に、最初から役割が決まっていることでした。
「別に嫌ってわけじゃないんですけど、毎回男女で分けなくてもいいのかなと思って」
そう言うと、義父は少し黙りました。
翌年、紙の書き方が変わった
すると、そばで食器を拭いていた妻が口を開きました。
「私、物置の整理ならやりたいよ。細かい場所を片づけるより、そっちのほうが好きだし」
義兄の妻も笑いながら続けます。
「私も障子より庭のほうがいいな」
義父は少し困ったように笑いました。
「そんなもんか。ずっとこれでやってきたから、考えたことなかったな」
その日は結局、冷蔵庫は私と義兄、従兄で動かしました。そのあと私は台所の棚を拭き、妻は庭の片づけに回りました。
ほんの少し担当が入れ替わっただけです。
けれど、不思議とそれまでより気楽に動けました。
そして翌年。
座卓に置かれた紙を見て、私は少し驚きました。
そこには男女で分けた名前ではなく、「庭」「台所」「家具」「窓」と作業だけが書かれていました。
「やりたいところから名前書いて」
義母はそう言って、紙の横にペンを置きました。
大げさな話ではありません。
ただ、昔から続いているやり方でも、一度口に出してみれば変わることがあるのだと知りました。
今では年末になると、あの一枚の紙を見るのが少し楽しみになっています。
※本記事は、tendが独自に実施したアンケートで寄せられた40代男性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。














