tend Editorial Team

2026.09.12(Sat)

「また怒られるやつ?」数万円の趣味の道具を買った夫。妻が見せた一枚の紙と本当の気持ちとは

「また怒られるやつ?」数万円の趣味の道具を買った夫。妻が見せた一枚の紙と本当の気持ちとは

テーブルの真ん中に置いた、一枚の紙

土曜の夜、子どもを寝かせてから、私はテーブルの真ん中に紙を一枚置いた。家賃や食費、子どもにかかるお金など、1か月ぶんの支出を書き出したものだった。

きっかけは、その週の初めに玄関へ届いた箱だった。中身は、夫が前から欲しがっていた数万円の趣味の道具。

生活費の口座から買ったものではなく、夫が自分で使えるお金から出したものだった。

だから、買ったこと自体を責めたいわけではなかった。

ただ、子どもが生まれてから、毎月少しずつ貯金すると決めていた私は、洋服を後回しにしたり、美容院へ行く間隔を延ばしたりしていた。

そんな横で大きな箱を嬉しそうに開ける夫を見ていると、どうしても引っかかるものがあった。

「私ばっかり我慢してる気がして…。たぶん、それが嫌だった」

そう話すと、夫は少し困った顔をした。

「でも、生活費から出したわけじゃないよ。自分の分から買ったんだけど」

「分かってる。買うなって言いたいわけじゃないの」

「じゃあ、どうしたらいいの?」

うまく答えられず、その日は話を終えた。

言い合うより、一度数字を一緒に見たほうがいい。そう思って作ったのが、目の前の紙だった。

「また怒られるやつ?」

夫が少し身構えたので、私は首を振った。

「怒りたいんじゃないよ。一回、一緒に見てほしいだけ」

紙の上で、夫の指が何度も止まった

夫は紙を手前に引き寄せ、上から指で追っていった。

家賃、光熱費、通信費、保険。

「こうやって並べると、結構あるな」

次に食費と日用品の欄で指が止まった。

「食費って、こんなにかかってた?」

「今月はちょっと高いよ。子どもの分も増えてきたし」

「ああ…そっか」

最後に、毎月貯めると決めている額を見ると、夫はしばらく黙った。

「思ったより出ていくんだな」

「うん。だから私は、ここを減らしたくないって思ってた」

私が貯金の欄を指すと、夫は紙から顔を上げた。

「服とか美容院も、そのために我慢してたの?」

「絶対そうしなきゃいけないわけじゃないんだけどね。なんとなく、自分が使ったら減る気がして」

夫は少し考えてから言った。

「それ、俺は全然知らなかった」

「私も言ってなかったからね」

話してみて分かったのは、私たちは生活費や貯金の額は決めていても、それぞれが自由に使っていいお金については、きちんと話したことがなかったということだった。

翌日、母に電話でその話をすると、こんなふうに言われた。

「あなたの分も決めたら?自分だけずっと我慢してたら、そりゃ嫌になるよ」

その夜、夫ともう一度話し、それぞれが気兼ねなく使っていい額を決めた。数万円するような買い物をするときは、先に一言話すことにもした。

紙は今も冷蔵庫に貼ってある。

次の週末、出かけようとしていた夫がその紙を見て、玄関から振り返った。

「この前決めた自分の分、ちゃんと使っていいんだからさ。美容院、行ってきたら?」

夫を責めたかったわけでも、買い物をやめさせたかったわけでもない。ただ、お互いが何を当たり前だと思っていたのか、ようやく同じテーブルで話せた夜だった。


※本記事は、tendが独自に実施したアンケートで寄せられた30代女性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています

※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。

RANKING

OTHER ARTICLES

NEW 2026.10.14(Wed)

「こんなに頼んだ覚えはないぞ!」回転寿司で注文を手伝った私に怒鳴る男性客。注文履歴を見せると態度が一変
tend Editorial Team

NEW 2026.10.14(Wed)

「いらねえよ、そんなもん」毎朝レシートを拒否する男性客。だが、レジ横の案内を見て慌てて床にかがんだ理由
tend Editorial Team

NEW 2026.10.13(Tue)

「アイスクリーム、ひとつお願いします」初めてアイス専門店に入った母。30種類を15分見比べた末に選んだ味に笑った
tend Editorial Team

RECOMMEND

2026.02.18(Wed)

元横綱兄弟の母・藤田紀子さんが終の棲家を売却し老人ホームへ。豪華施設での新生活に透ける家族の距離感と孤独の影
tend Editorial Team

2026.01.22(Thu)

「この数字、捏造だろ!」と営業1位の私を疑う上司。だが、私が見せた証拠に表情が一変【短編小説】
tend Editorial Team

2026.02.05(Thu)

「もう一度冷静に考えるべき」「高市内閣をサポートしていって欲しい」と賛否の声。維新・藤田共同代表、衆院選後の与党体制に言...
tend Editorial Team