「今年も、うちでやるの?」隣の空き地を2年続けて草刈りした夫。事情を知った町内会長が地主宅へ行ったワケ
今年もまた、隣の空き地の草を刈った
今年の夏も、隣の空き地の草は僕の背丈に届きそうなほど伸びていた。
車庫から道路へ出るには、この空き地の角を曲がるしかない。ところが草が伸びると左側がほとんど見えなくなり、飛び出してきた自転車に慌ててブレーキを踏んだことも一度ではなかった。
空き地の地主さんは、その奥の家に住む男性だ。去年の春、垣根越しに声をかけたことがある。
「すみません。角の草だけでも刈ってもらえると助かるんですが」
しかし、男性から返事はなく、そのまま庭の水まきを続けていた。夏になってもう一度お願いしてみたが、そのときも反応はなかった。
結局、去年は僕が自分の草刈り機を出し、道路の見通しをふさいでいた角の部分だけを刈った。
そして今年も、同じ場所の草が伸びてきた。
妻が声をかけてきた。
「今年も、うちでやるの?」
「危ないままにしておくのもなあ」
そう答えて、今年も角の草を刈った。地主さんから声をかけられることはなかった。
町内会長に初めて話した事情
それから町内会の集まりがあった日のこと。帰ろうとすると、町内会長さんに呼び止められた。
空き地は草が伸びているのに、道路に面した角だけいつも短くなっているのが気になっていたという。
「あの角、どなたが刈っているんです?」
「僕です。去年も今年も、危ないので角だけ刈りました」
会長さんは少し驚いた顔をして、首を横に振った。
「それは、あなたが刈る話ではありませんよ」
そして週末、会長さんと一緒に地主さんの家を訪ねることになった。僕は少し後ろに立ち、会長さんが事情を説明するのを聞いていた。
「この角は子どもたちも通りますし、草が伸びると車から見えにくくなるんです」
会長さんは続けた。
「お隣さんが去年も今年も、危ないからと角だけ刈ってくれていたそうです。これからは、伸びる前に対応してもらえませんか」
地主さんはしばらく黙ったあと、僕のほうへ向き直った。
「何度もやってもらって、すみませんでした」
翌週、空き地に業者が入った
翌週、空き地には草刈りの業者が入り、角だけでなく空き地全体の草がきれいに刈られた。
道路へ出るときも、向こう側まで見通せるようになった。
その日の夕方、地主さんが封筒を手に、うちの玄関へやってきた。
「これお詫びです。少しですけど、受け取ってください」
「いや、そこまではいいですよ。これから気をつけてもらえれば」
そう言って封筒を返すと、地主さんは「すみませんでした」ともう一度頭を下げた。
翌朝、車で角を曲がると、道路の先に黄色い帽子の子どもたちの姿がはっきり見えた。
自分で刈れば済むと思って2年続けてきたが、困っていることはきちんと伝え、必要なら周囲に相談することも大切なのだと感じた出来事だった。
※本記事は、tendが独自に実施したアンケートで寄せられた60代以上男性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。














