「あの、すみません…降ります…」電車のドア前から動かない男。だが、他の乗客の一言で状況が一変
満員電車での出来事
平日の朝、いつものように息苦しい満員電車。
車内はぎゅうぎゅう詰めで、身動き一つ取れません。
「痛っ……」
思わず心の中で声を上げました。
ドア付近に立つ中年の男性が、スマホを見ながら大きく張った肘。電車が揺れるたびに、それが私の腕にゴツゴツと当たるのです。
(周りのこと、全然気にしてないんだな……)
正直かなりストレスですが、朝からトラブルになるのは避けたいところ。
ひたすら耐え忍ぶ、苦痛のひととき。
やがて次の駅に到着し、ドアが開きます。
すると、近くにいた小柄な高齢の女性が、手すりにつかまりながら出口へ。
「あの、すみません…降ります…」
申し訳なさそうに声をかける女性。
しかし例の男性はスマホから目を離さず、道を空ける気配がありません。困った表情で立ち止まってしまう女性。
(どうしよう、私が何か言わなきゃ……でも怖い)
ためらっていた、まさにその時。
サラリーマンの男性の一言
すぐ隣にいたサラリーマンの男性が、すっと一歩前に出ました。
「すみません。こちら降りる方がいらっしゃるので、少し詰めていただけますか」
決して声を荒げるわけではありません。
とても落ち着いた、丁寧ではっきりとした声。
「あ……」
言われた男性は一瞬ムッとしたような顔つきに。しかし周囲の視線に気づいたのか、無言でスッと体をずらしてスペースを空けました。
「ありがとうございます……」
高齢の女性は小さく頭を下げ、無事に電車を降りていきます。
その瞬間、車内の空気がふっと和らいだような感覚。
誰も何も言いませんが、「よく言ってくれた!」という共通の安堵感が車内に流れていた気がします。
(すごいな……私には、あんな風に言う勇気はなかったな)
波風を立てたくない、面倒に巻き込まれたくない。
そんな気持ちが先立っていた自分が、少し恥ずかしくなりました。
ふとサラリーマンを見ると、彼は何事もなかったかのように、また自分のスマホに目を落としています。そのさりげない姿が、妙に印象的でした。
職場に着く頃には、朝のイライラはすっかり消え去り、すがすがしい気分に。
「なんだか今日は、少し良い一日になりそう」
誰かの冷静な行動一つで、こんなにも気分が晴れるものなのですね。
日常の中で一番スカッとする瞬間は、案外こうした静かな出来事の中にあるのかもしれません。
※tendが独自に実施したアンケートで集めた、20代・女性読者様の体験談をもとに記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。














