「あんた、今日も雑用は素通り?」会社の雑用を無視して席につく同僚。言えない日々に抱えた葛藤
誰に言われたわけでもない雑用
うちの職場では、始業時間の15分前には出社しているのが暗黙の習慣になっている。
その15分で、コピー機の準備をする。ポットに水を入れてスイッチを入れる。前日のゴミをまとめて所定の場所に出す。共有デスクを布で軽く拭く。誰かに言われたわけじゃない。でも、みんなそうしてきた。
特にルール化もされていないからこそ、「できる人がやる」という形で続いてきた慣習だ。
もちろん、強制力があるものではないのはわかっている。
でも、長く働いていると、その15分の雑用が一日のスタートに必要な準備であり、職場を整えるための当たり前の時間になっている。
私もそう思って、ずっとこなしてきた。
だから最初は、気にしていなかった。誰かが必ずやっている。それだけのことだと思っていた。
その同僚は、いつもギリギリに来る
ある同僚が気になり始めたのは、いつ頃からだったろう。
その人は始業時間の2、3分前に出社してくる。バッグをデスクに置いて、パソコンを立ち上げて、そのまま仕事に入る。
コピー機のそばを通っても立ち寄らない。給湯室には向かわない。共有デスクには目も向けない。ゴミが出ていても、そこには関わらない。
仕事は真面目にこなしている。遅刻もしていない。
でも始業前の雑用には、一切手を出さない。
毎朝同じ光景が続くうちに、じわじわと意識に引っかかるようになった。
「あんた、今日も雑用は素通り?」
胸の中で何度もそう投げかけた。声に出せたことは一度もない。気づいていないのか、それとも気づかないふりをしているのか、答えは出ないまま頭の中をぐるぐるしていた。
悪意があってやっているとは思わない。
ただ、自分には関係ないと思っているのか、本当に見えていないのか、その境界線が判断できないでいる。そしてその判断ができないまま時間が経つと、もやもやだけが確かな形を持っていく。
言えないし、言わないけれど
誰かに話すと「そういう人いるよね」と苦笑いが返ってくる。
確かにそうだ。でもそれで気持ちが楽になるかといえば、そうでもない。
翌朝になれば、また同じ朝が来るのだから。
直接伝えることも頭をよぎる。でも、毎回そこで踏みとどまる。理由は3つある。一つは、暗黙のルールを口に出した瞬間に角が立つこと。二つ目は、職場の空気がぎこちなくなるのが目に見えていること。三つ目は、もし「気づいていなかった」だけだったら、今さら言うのが申し訳なくなること。
仕事に直接影響することでもないから、3つの理由はいつも勝ってしまう。
だから今日も何も言わないまま、私はコピー用紙をトレーに補充する。ポットのスイッチを入れる。ゴミをまとめる。
あの同僚はもうすぐ来る。そしてまた、何も言わない朝が始まる。
※tendが独自に実施したアンケートで集めた、40代・女性読者様の体験談をもとに記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。














