「やったやつ、前に出ろ!」ブレザーに落書きされた親友。だが、担任の先生の一言で状況が一変
3年泣かなかった親友が膝で抱えて崩れた朝
中学時代、私と仲の良かった友達は同じ時期にいじめを受けていた。
私は髪型のせいで「くるくる」と呼ばれ、彼女は体が柔らかいことを面白おかしく渾名にされていた。
嫌がらせは中1から続いていたが、彼女はいつも「気にしない」と笑ってみせる強気な子だった。3年近く、教室で泣いたところを見たことがなかった。
そんな彼女が、ある朝の教室で、膝にブレザーを抱えて固まっていた。
近づくと、白いチョークで文字がべったり書かれていた。
前の放課後にやられたのは明らかだった。書かれた言葉を読もうとしなくても、内容は想像できた。
彼女は膝の上のブレザーをぎゅっと押さえつけたまま、初めて涙をぼろぼろこぼしていた。声をかけても首を横に振るだけだった。
周りには何人もの生徒がいた。気づいていないはずはない。それなのに誰も声をかけず、何も起きていないような顔で席に座っていた。教室全体が、息を潜めるように静まり返っていた。
扉が開いて、先生が教壇を蹴った
そのまま朝のホームルームが始まってしまうのかと思ったとき、ガラリと扉が開いた。
正義感の強い担任の先生が出席簿を持って入ってくる。教壇に向かいかけた足が、彼女の顔を見た瞬間に止まった。
一拍置いて、先生の足が教壇をどんと踏み鳴らした。
「やったやつ、前に出ろ!」
腹の底から絞り出すような声だった。
教室の全員が息をのんだ。先生は生徒をひとりずつ見回した。視線が合うたびに、誰もが目をそらして下を向いた。
やった側も、見て見ぬふりをしていた側も、同じように小さくなっていた。
結局、犯人は最後まで自分から名乗り出なかった。
それでも先生は学年中に話を通し、彼女のブレザーはその日のうちに新しいものに替えてもらえた。
あれ以来、ふたりへの嫌がらせはぴたりと止まった。
40代になった今も、あのときの音が耳に残っている。教壇を踏み鳴らしたあの一発と、初めて大人が本気で怒ってくれた声。
あの音があったから、今も真っすぐ立っていられる気がしている。
あの日のことを思い返すと、見て見ぬふりをした自分にも責任があった気がする。それでも、教室の空気がほんの数秒で変わる瞬間を確かに見たということが、その後の自分を何度も支えてくれた。
※tendが独自に実施したアンケートで集めた、40代・女性読者様の体験談をもとに記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。














