「あなたより新人の方が辛いよ」勤続7年の私より入社数か月の後輩が辛いと笑う社長の言葉に、答えが出ないまま席に戻った昼下がりの葛藤
社長の笑い話に固まった瞬間
同じ部署に、入社して数か月の後輩がいる。
まだ業務を覚えている途中で、毎朝マニュアルを広げながら作業している。微笑ましいと思いつつ、自分も7年前はそうだったと少し懐かしくなる。
質問されれば答えるし、確認を頼まれれば手を止めて見る。それも今では当然の流れになっていた。
その日は繁忙期の入口で、午後になってもタスクが積み上がったままだった。
社長に業務の相談をした帰り際に、ふと疲れが出てしまった。「最近なかなか追いついていなくて」と言葉が出たその瞬間、社長は軽い口調で返してきた。
「あなたより新人の方が辛いよ」
笑いながら言っているぶん、否定もしにくかった。どう返せばいいのかわからないまま、小さく頷いた。
辛さに順番はあるのか
社長とは仕事以外で話す機会がほとんどない。こちらの業務内容を細かく把握しているわけでもないだろう。
それでも断言できるのはなぜなのか、廊下を歩きながら内心で問い続けた。
7年いれば仕事は覚える。でも、覚えた分だけ任される量も増える。
後輩の分まで確認しながら回す場面もある。問い合わせ対応が増えた時期も、業務範囲が広がった年も、特に言葉にしてこなかった。
それが当たり前だと思っていたし、愚痴にするような話でもないと思っていた。新人が大変なのは事実として、そこに辛さの序列をつけることに何の意味があるのか。
答えを出せないまま「そうですね」とだけ返して席に戻った。
透明になっていく7年目
デスクに戻っても、あの一言が頭の片隅に引っかかり続けた。
もしかすると社長の目から見て、7年目の自分はもう「普通にこなせる人」として背景に溶けているのかもしれない。
問題が起きなければ声がかからず、こなしているうちは見えない。それが積み重なって、今日のような一言になって出てくる。
仕事を続けるうちに、存在が当たり前になっていくことがある。それ自体は悪いことではないのかもしれないが、今日の一言がその証左のように感じられて、少しだけ疲れが増した気がした。
入社した頃、何かを覚えるたびに小さな手応えがあった。あの感覚は、いつの間にか静かに薄れていた。
後輩を悪く思う気持ちはない。ただ、比べる必要があったのかどうか、そこだけがどうにも落としどころを見つけられない。
比べられた言葉は、胸の中で思ったより長く残っている。
答えが出ないまま、今日も業務をこなしている。
※tendが独自に実施したアンケートで集めた、30代・女性読者様の体験談をもとに記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。














