「あの人のお家ね〜」誇張して私の家庭事情を広めるママ友。だが、友人がママ友を問い詰めると
送迎の輪で私の名前だけが切り取られていた
春から夫が単身赴任になり、子どものお迎えは私が一人で回す日々が続いていた。
同じ園のママ友の輪に、必ず私の名前を引きずり出しては笑い声に変える女性が一人いた。
「あの人のお家ね〜」
職場の同僚と昼食に行った話、玄関に届いた段ボールが酒のケースだったという話、子どもの習い事を最近やめたという話。
半分は事実で、もう半分は彼女が継ぎ足した装飾だった。
輪に入っていない私の耳にだけ、その差分がはっきり届く。指先まで冷たくなる夕方が、何度も続いた。
別クラスの友人に頼んだ援護射撃
耐え切れず、年少から付き合いのある別クラスの友人に相談した。
はっきり物を言うタイプで、噂話を嫌う人だ。
彼女は私の話を端まで聞いて、短く頷いた。
週明けのお迎えで合流すると約束してくれた日、私は朝から落ち着かなかった。
月曜の夕方、私と友人は同じ時間に園庭に着いた。彼女は私の隣で軽く目線を合わせると、噂を流す女性のいる輪へ自然に近づいていった。
私はベンチで子どもの上着を直しながら、その背中だけを見ていた。
話題はあっという間に私の方へ転がった。単身赴任、酒のケース、辞めた習い事。
三十秒もしないうちに、彼女の半笑いの声がいつもの調子で続いた。隣に座った友人が、その流れに被せて、低く一言だけ落とした。
「全部本人に確認しましたけど、違いますよね」
青ざめた顔と、ほどけていく拡大解釈
輪の空気が止まった。
友人は淡々と並べていく。酒のケースは義実家から届いたお米と漬物だったこと。昼食は産休に入った同僚の壮行会だったこと。
習い事はコーチの異動で休止しただけだったこと。そして、夫の単身赴任は事実だが、寂しいかどうかは本人以外が決めることではないこと。
一文ずつ落ちるたびに、噂を流していたママの顔から血の気が引いていった。輪の二人が一歩ずつ後ろに下がり、彼女は口を開きかけて結局何も言えず、早足で園庭を抜けていった。
翌週から園庭の輪は組み替わった。私は同じ時間にお迎えに行き、頷きを交わす相手が少しずつ変わっただけだ。陰口を浴び続けた数か月の重さが、友人の一言で軽くなった夕方だった。
※tendが独自に実施したアンケートで集めた、30代・女性読者様の体験談をもとに記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。














