「オムツも夜泣きも、俺けっこうやってるから」同僚にイクメン自慢する夫。だが、娘の無邪気な一言で顔色が一変
招かれた同僚の前で
休日のリビングに、夫の同僚が二人。
お茶を出した私は、娘と並んでソファの隅に腰を下ろした。
子育ての話になると、夫は待ってましたとばかりに胸を張った。
「うちは育児も家事も半分ずつなんだ。協力し合うのが大事だよね」
「いやー、すごいですね。うちなんか全然ですよ」
「でしょ?オムツも夜泣きも、俺けっこうやってるから」
同僚がそう返すたび、夫の鼻はどんどん高くなっていく。
私は何も言わずに、お茶のおかわりを注いだ。否定するつもりもなかった。
ただ、ひとつだけ引っかかる言葉があった。夜泣きの対応を、夫がした夜なんて、ここ何ヶ月もない。
そのやり取りを、娘はじっと聞いていた。
そして、ふと顔を上げた。
「保育園の持ち物もママが全部やってるよ」
写真には写らない毎日
娘の一言で、リビングの空気が一拍止まった。
無理もない。夫が引き受けるのは、いつも人の目に映る場面だけだった。
休日に公園へ連れ出す姿はSNSに上げ、親戚から「いいパパね」と褒められる。
けれど夜泣きも、薬を飲ませるのも、汚れた服の山と向き合うのも、すべて私の役目だった。
娘は、そのどちらも毎日見ている。だからこそ、写真の外側にある本当の毎日を、ためらいなく口にできたのだ。
「パパ、お洗濯の場所も知らないよね?」
追い打ちのように、娘がもう一言。責めるつもりなんて、まるでない顔だった。
取り繕えなかった顔
夫は引きつった笑みで、必死に言いつくろおうとした。
「い、いや、最近はちょっと忙しくて……」
「先週もママが洗ってたよ」
娘にすかさず返され、夫の言葉尻が小さくしぼんでいく。なんとか話を変えようと、夫は天気の話を持ち出した。
「そ、そういえば今日は天気が良くて……」
けれど、もう誰もその話に乗らなかった。
同僚の二人は、カップを手にしたまま視線を泳がせている。
「子どもって、ちゃんと見てるんですねえ」
一人が苦笑いでそう言うと、隣の同僚もぎこちなくうなずいた。やわらかい口調の裏で、その場の全員が同じことを察していた。
夫はもう、半分ずつの話を口にできなかった。胸を張っていた背中が、いつのまにか丸まっている。私は手元のお茶に目を落としたまま、ひとことも言わずにいた。何も言う必要が、なかったからだ。
同僚を見送ったあと、夫はばつが悪そうに洗濯機の前に立っていた。
「これ…どうやって回すの?」
初めて聞いてきたその声に、私はやり方だけを教えた。それからの夫は、少しずつ連絡帳に目を通すようになった。私の小言よりも、娘の無邪気な一言のほうが、ずっと深く届いたらしい。
※tendが独自に実施したアンケートで集めた、30代・女性読者様の体験談をもとに記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。














