「お線香、もう減ってるじゃない」手伝わないのに口だけ出す義叔母。だが、喪主の義母の怒りの一言で黙り込んだ
毎日まくしたてに来た義母の妹
義父が亡くなり、喪主側は葬儀会館に泊まり込むことになった。
義母と私たち夫婦は受付と段取りに追われて、ろくに眠る時間も取れない。そんな初日の昼、義母の妹が突然顔を出した。
「もっと早く動いて」
口にしたのは挨拶ではなく、いきなりの指示だった。
「皆さん待ってるじゃない」
手伝うのかと思ったら違った。
喪服のままパイプ椅子に座って、甲高い声で次々に注文だけ出してくる。
「お線香、もう減ってるじゃない」
「気付かないの?早く替えてよ」
翌日もまた来た。早口で延々と続く指示の声が、狭い控室にずっと響いていた。
義母は黙って頷くばかりで、夫は目に見えて消耗していた。
私は香典の名簿を書きながら、何度もペンを止めそうになった。
「弔問の対応も遅いし、お茶出しも遅い」
「お返しの品、もっといいのにすればよかったのに。みっともない」
(手を動かさない人が、どうしてこんなに大きな声を出せるんだろう)
喪主が告げた一言で空気が変わった
葬儀当日の朝も、義母の妹は早くから受付に張り付いていた。
私が花の位置を直しているところに駆け寄ってきて、また早口になる。
「あんた達遅いのよ、もう来ちゃうわよ!」
その時、それまで黙々と挨拶状を整理していた喪主の義母が、ゆっくりと立ち上がった。
受付のざわめきが、すっと止まった。
「もう、帰ってちょうだい」
会館の廊下まで届く、静かではっきりした声だった。
「来てから、お湯一杯沸かしてないでしょ。口だけ出されるの、もう疲れたわ」
義母の妹は一瞬で固まり、口元が小刻みに震えた。
何か言いかけて、言葉にならず飲み込む。受付に並んでいた親戚たちが、静かにこちらを見て、誰かが小さく息をついた。
「お姉ちゃん、私は手伝いに来てたのよ」
「お父さんを送るの、私の役目なの。あんたじゃない」
義母の妹は、振り返らずに会館を出ていった。
ヒールの音だけが廊下にしばらく残っていた。隣にいた夫が、深く息を吐いて私に小さく頷いた。受付の親戚も無言で再び作業に戻っていった。
あれから義母の妹は来ていない
葬儀のあと、四十九日も一周忌も、義母の妹は姿を見せていない。
義母から電話したが、忙しいの一言で切られたという。それきり連絡もないままだ。
「言わなきゃ、ずっと続いてたわね」
法事のあと、義母がぽつりと漏らした。あの朝以来、義母の背筋はまっすぐに伸びたままだ。
義母の妹と街で見かけても、向こうから先に目を伏せて通り過ぎていく。
※tendが独自に実施したアンケートで集めた、40代・女性読者様の体験談をもとに記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。














