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2026.06.19(Fri)

「男の子が欲しかったんだ」全国大会も応援に来なかった父が、娘の結婚式で大号泣、25年分の本音に妻が放った一言

「男の子が欲しかったんだ」全国大会も応援に来なかった父が、娘の結婚式で大号泣、25年分の本音に妻が放った一言

団扇をあおぐ夫

娘が赤ん坊だった頃から、夫は子育てにまるで関心がなかった。オムツも替えず、あやすこともしない。話しかけている姿すら、ついぞ見たことがなかった。

「たまには抱っこしてあげてよ」

「俺がやると泣くからな」

そう言って、いつもさっと部屋を出ていった。お風呂に入れることだけは、なぜか黙ってやってくれたけれど。

娘は水泳でめきめき伸び、ついに全国大会の決勝にまで進んだ。私は夫を無理やり会場へ引っ張り出した。

「ほら、もうすぐ娘の番よ。ちゃんと見て」

「暑い暑い」

夫は団扇をあおぐばかりで、プールではなく自分の額の汗を気にしていた。

娘が水面を駆け抜ける晴れ姿にも、その手は止まらない。

「あの子、入賞したのよ。すごいでしょう」

「ふうん、よかったな」

進学の相談をしても上の空。私はこの人に父親らしさを期待するのを、とうにあきらめていた。

涙の一つも出ない

歳月は流れ、娘の結婚式の日。

バージンロードの手前で、信じられないことが起きた。

「ううっ……すまない、止まらん……」

娘の手を引く夫が、人目もはばからず号泣しはじめたのだ。あれだけ何にも興味を示さなかった人が、肩を震わせて泣いている。

私は、ぽかんとしてしまった。胸が熱くなるどころか、涙の一つも出てこない。

「お父さん、泣くんだ(笑)」

娘も、晴れ着の母を振り返って吹き出した。責めるでもなく、心底おかしそうに。

夫はうつむいて、小さく縮こまっていた。25年見てきた私には、その涙がどうにも遅すぎた。

こぼれた本音

孫が三人、いずれも男の子だった。すると夫は、人が変わったように溺愛しはじめた。週末ごとに迎えに走り、肩車をし、図鑑を広げてやる。

「あなた、娘にはあんなに冷たかったのにねえ」

「……正直に言うと、男の子が欲しかったんだよ、ずっと」

長年の無関心の理由が、こんなにあっさり出てくるとは。

私は絶句し、それから笑いが込み上げた。身勝手で不器用な人が、孫を通してようやく人間らしくなった気がした。

「だったら、娘の25年分、この子たちに倍にして返しなさいよ」

「……倍か。それは、こたえるな」

夫は決まり悪そうに頭をかいた。それからは送り迎えを一度も休まず、運動会には朝いちばんで場所取りに出かけるようになった。

あれだけ娘の大会に来なかった人がだ。

「じいじ、また来てね!」

孫に手を引かれて、うれしそうに目尻を下げている。その背中を見ているうちに、25年つかえていたものが、ふっとほどけていった。

※tendが独自に実施したアンケートで集めた、60代以上・女性読者様の体験談をもとに記事化しています

※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。

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